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鉄路の背信:JR北海道異常放置/中 「5・27」特急炎上事故 生きぬ教訓、響かぬ理念
毎日新聞 2013年10月08日 東京朝刊
◇「実態隠しの天ぷら会社」
焼け落ちた客席、骨組みしか残っていない運転台……。2011年5月27日、北海道占冠
(しむかっぷ)村の石勝(せきしょう)線で脱線、炎上した特急スーパーおおぞら14号が、今年4月から
社員研修センター(札幌市東区)に展示されている。79人がけがをしたJR北海道発足以来、最悪の
事故を記憶し、再発防止の誓いとするためだ。「5・27」。経営陣も労組関係者も事故をそう呼び、
教訓としてきたはずだった。
事故では、乗務員が本社指令センターの指示通りに動こうとして避難誘導が遅れ、被害を拡大させた。
上意下達の企業風土や安全意識の低さが浮き彫りになった。
国土交通省から事業改善命令を受けた同社は「安全性向上のための行動計画」を作成。当時の
中島尚俊社長が自ら手を入れ、「会社発足当時、厳しい経営環境の中で緊張感があったが、徐々に
体質にゆるみが生じていた」と指摘した。
だが、中島氏は事業改善報告書と行動計画を国交省に提出する直前の11年9月12日に失踪。
6日後に小樽市沖で遺体が見つかった。「『安全を最優先する』ことを常に考える社員になって
いただきたい」。遺書には、そんな言葉があった。
◇
今年1~2月、JR北海道は社員に対し「働きがい」についてアンケートした。「経営理念への共感」
「変革への行動、当事者意識」といった項目が、他の会社の平均と比べて極端に低かった。
2年前に作られた行動計画には、現場の実態を把握するため「幹部が『膝詰め対話』を行う」との
方針が示された。だが、ある保線員は「支社長が来たが、上から言われてやっているという感じで、
響くものが何もなかった」。別の保線員は、赤字の本業を軽視して副業の開発部門に力を入れる
現状を、衣に包んで実態を隠した「天ぷら会社」と皮肉を込めて呼ぶ。「企業体質は『5・27』後も
変わらない」。会社が「安全重視」を打ち出しても、現場はしらけている。