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米国「保守」の危機意識に学ぶ | 日本政策研究センター
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パトリック・ブキャナン氏は、アメリカでは知らない人のない保守派の大物だ。
ニクソン、レーガンの両共和党大統領の下で、外交政策のスピーチライターとして活躍し、
92年と96年に共和党の大統領指名予備選に参戦、2000年には自らが大統領選本選に出馬した。
このブキャナン氏は、自著『病むアメリカ、滅びゆく西洋』の中で、
「テレビも映画も同性愛を合法的ライフスタイルと謳いはじめた。
…大手出版社はゲイ革命に批判的な本の出版から手を引いた。
ゲイ認知の声は性教育をも左右し、ゲイ活動家が大学当局まで支配下に収め、
多くの州が同性間性行為禁止法を破棄した…」と、
同性愛など、アメリカのモラルの破壊について指摘している。
ブキャナン氏は、こうした事態に立ち至ってしまった背景について、
一九六〇年代に全米の大学に広がった学生運動、
そして性革命やドラッグ革命などに象徴される当時の文化的な大変革を指摘する。
ブキャナン氏の分析の真のユニークさは、この「文化大革命」の正体を、
“共産主義者”の新種の「革命理論」と結びつけて理解している点にある。
この「革命理論」を簡単にいうと、資本主義の温床は“キリスト教”であるから、
「共産革命のためには、まず西洋の非キリスト教化が必須だ」という考え方である。
換言すれば、マルクスが唱えた「階級闘争」よりも「文化闘争」を優先する考えともいえる。
この革命理論の代表的なイデオローグの一人である共産主義者のグラムシはこう訴えたという。
「まずは文化を変えよ、そうすれば熟した果実のごとく権力は自然と手中に落ちてくる…
…そうすればやがて人々は徐々に革命を理解し、歓迎さえするようになる」と。
ちなみに、「文化闘争」理論の拠点となるのが“フランクフルト学派”である。
同学派はマルクス思想を文化用語に翻訳し、「勝利の大前提は西洋人がキリスト教精神を捨て去ること。
それは文化教育制度が改革派の手中に握られて初めて実現する」という新しい革命マニュアルを執筆した。
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