11/07/17 13:19:32.53 uQEcxsEv
どんな物語にも終わりがくる
あの話の結末はすでにわかっていた
それでも読まずにはいられない
好きな男に弄ばれて絶望の果てに見つけた小さな希望
罪を犯してまで手に入れた小さな命を軸に周りの人々のそれこそ運命を狂わせていく
書いてしまえば陳腐な設定だが
主人公の自分と重なる部分はほぼ無いに等しいのに、心をかきたてて止まぬ何かがあった
もがき苦しみながらも、逃げて逃げて逃げ続けながらも自分の命よりも守りたかったもの
愛する、ということ
簡単に口に出来ないから、それがどういうことか漠然としか思い描けぬものの輪郭を、彼女と小さき命の過ごした日々を辿りながらいつかくる最後の時を見守り続けた
夕陽に照らされた静かな海
彼女が生きて見つめた場所は私の中にもあった
小さな頃にいつも見つめ続けた風景
苦しいときに帰りたいと願い続けた風景
そんな原風景がきっと誰にもあるだろう
絶望の果て、それでもその掌に握り締めたかったもの
蜉蝣のように儚いけれどわずかに残る鱗片を糧に彼女は生き続ける
パンドラの箱に残されたものがたったひとつ
希望 と名付けられたそれだけが、これまでもこれからも様々な命と物語を繋いできたように
例え離れ離れになったとしても、大切に想えた誰かが健やかに生きていてくれればと
ただそれだけが望みであるかのように