君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.102]at POEM
君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.102] - 暇つぶし2ch285:名前はいらない
12/04/20 03:40:58.67 ZlLU2RB5
「ため息」

初冬の初雪の舞う中 風が杉達の間を勢いよくすり抜ける
山の頂から頂に掛けて 送電線の唸る音が聞こえる
人造湖は波打っている
一瞬ふわっとしたかと思うと 空は洗われ 雑木林は明るく広がる
既に枯れた黒花エンジュから スズメが生まれるように飛び立つ
突然 風はふっとため息を漏らす
雪はまだ降っては いる
けれど 風のため息と共に辺りは静止し 一枚の暖かく 白と黒の明るい絵となる
ふんわりとしたやさしい空間が生まれる
まだ間に合うかもしれない
いやきっと間に合う だって風がやみ 風の吐息が感じられたから
するとまた パラパラと霙交じりの雪が 普通の呼吸に戻った風に押されて吹き付けた

とてつもない遠い山から山へと 木々の間を縦横無尽に吹き付ける風
じっと風を見回している私がいる
私は木の葉のように流されたりはしない
風はまたため息を吐いて 落ち着くはずだと私は思った


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