君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.100]at POEM
君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.100] - 暇つぶし2ch528:名前はいらない
12/02/11 18:23:54.88 sT2tsFhm
あれはどこかの海岸線
集めていたのは硝子の石
大人になるまでの日を指折り数えて
硝子の中では半解した夕日が海岸を包みこみ
沖を染め、砂を染め、いくつかの綺麗な夢をつくっていた
そして閉じられる手のひらにからっぽを握って
引潮に連れられていく
砂は遠ざかり、足の下で深く眠っている
ひとつの波に、浚われる温度だけ
砂を削りながら私の中に満ちていた
口移しされた彼女の愛を飲みこんで
幼い私がいくつかの水泡を吐き出していた

光が水の底へ、沈もうとするのとも違う
あの夕日の残りが私を抱いて
硬く瞑った瞼に彼女は影を射す
拒絶できない口づけの中で
思い切り叫んでやりたかったのに、
声の代わりに出たのは、やっぱり泡だけで
それがひとつ、
うあん、と響いて小さくなった
いっそ窒息してしまいたい
これが私の海岸線だった

そして指は開かれて
投げ捨てた硝子から
私は産まれました

砂に塗れても、いくつもの反射の中で蘇る海岸線に
取り残されたあれは母、だったと思います
硝子色の大きな泡の中で眠っているあれが
愛だったのかもしれない
最後にうわん、と響いたのは背後でだったから
私は目を逸して去るだけでした



次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch