11/06/06 14:50:11.65 8FrqzdO8
朋、遠方より来たる。
桜花の香りを焚きしめて来たる。
我里の瓦礫の波は一滴の波紋も立たず、
泥の水、赤子の嬌声甚だしきこと無明の世の溜息の如し。
朋曰く、「6月の山里は只々冷え込み、
桜の花の今になりて咲き誇りたるよ。」と。
混迷の大地に、四季の折訪れるによりて、
我心の安樹の花のつぼみ膨らむ。
嗚呼山月記の虎の如く理性を失い、
野盗に堕ちてこの世の悪法を糾さんと思わずかは。
然るに我思う、「この世の美しき花の如く、
我の必定を極めしは、この世の桜の美しき咲きたるが故により。」と。