11/01/28 22:21:14 EkkHnRbu
「SEVENTH HEAVEN」
百億年生き続けたバカがいる
そいつはそんだけ長く生きただけあって本当にバカだ
死んだ魚が夢見るような目をして
第７層の天国……といつも呟いている
ぶよぶよに濡れ膨らんだ頭をして
第７層の天国……といつも呟いている
ネオン色の病院の廊下に跪いて
彼の病室はない
私は売店で毒のたっぷり入ったコーヒー飲料を買って
かたつむりみたいな彼の後ろ姿を見送りながら
「どんだけ？」と呟きながら病室へ帰る
冷たい鉄パイプと冷たいリネンで出来たベッドは私の土地だ
空想世界のラブストーリーで時間を埋める
星たちが決して消えることなく
暗闇が彩りをもって揺れる宇宙まで
重力を超えて昇りつめた恋人たちは
その天国で
いつまでも消えることのない絶頂を噛みしめた
ふーん
バカなストーリーだね
死んじゃったら意味ないじゃん
そう呟く私の頬を涙が伝った
なんでだろ
なんかわかんないけど涙が出るや
そういう時ってあるよね
たとえば今人気絶頂の女の子３人組アイドルグループの笑顔をyoutubeで見ながら
繋がったまま宇宙を漂う二人のなきがらを想う
酸素のない宇宙で
裸のにんげんは綺麗でいられません
あ、また涙でた
カーテンを開けると明るい廊下の窓に一点のネオン色があって
潰れた蛙みたいな顔して祈るような彼が見えた
「どんだけ？」とまた呟いて
眠れそうにないベッドに重たい身を横たえよう
私は私の余命を知らない
毒入りコーヒー飲料の味が至福