13/03/30 20:45:57.42 Aeqwcwa30
知り合いの話。
まだ幼い彼が実家に里帰りをしていた時のことだ。
父親と里山を散歩していると、川に小さな橋が掛かっている場所に出た。
街の川と違って魚の影が濃いことに興奮し、川面を一生懸命に覗き込んでいた。
そんな彼の様子を、父親はすぐ背後から見守っていた。
と、いきなり父親は「おーい!」と大声を上げ、上流の方へ手を振り始める。
目を向けると、誰かが川から上半身を出していて、やはりこちらへ手を振っていた。
同い年くらいの子供に見えたが、頭も腕も真っ黒で、表情などは見えない。
ただ赤い口だけが、パカリと開いているのが見てとれた。
彼が目を凝らそうとすると、すぐにそいつは水の中に姿を消したという。
「今の誰、何処の子なの?」そう尋ねると父親は、
「昔馴染みだ、気にするな」とだけ口にした。
実家へ帰ってから祖母にこの話をすると、
「あの子はよく河童と遊んでいたからねぇ」と懐かしそうに言われたそうだ。