12/07/31 01:34:50.82 +1hJtOEDO
「話が違うじゃないか、お前さんがたが欲しがってた部品、もう注文しちまったんだよ。来週、店に届くんだよ。支払いはどうしてくれるんだい」
あんたのお陰でロケットが完成したから、もう用はない。
それとも、金星まで行商するかね?
未来人に追い出されて現在に戻る道すがら、エドナは考える。
時間の流れには無数の分岐点があり、分岐点のそれぞれに無数の選択肢がある。
「あたしはバカだ、欲しがるものを全部与えて、あいつらを去らせてしまった」
「サンフランシスコ中の札束を手に入れるまで、あいつらを手放すもんか」
エドナは時間の分岐点を精査し、
「ロケットは墜落するが金星着陸用の制御装置が働いて、多数の怪我人を出すものの命は助かる」
「移民計画を諦めることなく、高価な部品を注文して何度もロケット製作に挑む不屈のチャレンジャー」
の未来を選び取る。
未来世界。移民ロケットが墜落し、残骸の中で怪我人が呻いている。
「…あのばばあが過去から手を回したんだ」
「俺達を引き止めておくために、過去から足を引っ張ったんだ…俺達、いい客だもんな」
「冗談じゃない、脱出するぞ!脱出しなきゃならないんだ!」
嫌な予感を振りほどくように、声高に喋る未来人たち。終わり。
猫に弄ばれるカマキリですね、わかります。