12/04/12 21:13:14.27 iezpN2Y70
>>223
バックしながら着実に海老名サービスエリアから遠ざかるバス。
そのバックモニターに、異様な物体が映り込んだ。
堺は目を疑いながら停車させた。
誰一人として失うことなく、あの大群ゾンビの攻撃から無事に脱出できて大喜びしていた生徒たちや原が、
怪訝な顔で見つめて来る。
「後ろの人は見えてるだろ。 その車をどかさなくちゃ。 男子は全員きてくれ」
囚人からさっき使っていた包丁を提出させて、手錠をバス車内の金属につなぎ直し、生徒たちと共に降車する。
「うわぁ、何これ・・・」
「マヂかょ・・・」
堺が使っていた道路パトロールカーが、引っ繰り返されて無残な姿を晒している。
これが人間の仕業でないことは誰の目にも明らかだった。
日の出が近い空の下で、車体の片側に無数の手形を見つけ、
ゾンビが共同で車を使えなくしたのだと判明したが、
それが如何に恐ろしい意味を持っているのかを言葉にすべきではない。
14人掛かりで車をずらし、バスの車体がすり抜けられる程度の幅を確保することができた。