【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ19【友人・知人】at OCCULT
【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ19【友人・知人】 - 暇つぶし2ch463:未 本編3 ◆oJUBn2VTGE
12/01/14 23:37:27.49 PnBJCiQI0
目が覚めたのは朝の九時過ぎだった。
まだ頭が重く、肌触りの良い布団から出るのは億劫だったがなんとか気合を入れて起き上がった。三時間ほど寝ていたらしい。
広い部屋の真ん中に布団が一組だけ敷いてあるのを改めて眺めると、凄く贅沢な気分になる。
大きな窓のカーテン越しに朝の光が部屋の中に射し込んでいる。浴衣の襟のあたりを掻きながらそちらにぼうっと目をやる。
それから自分の身体の様子を確かめたが、特に異常はないようだ。あの謎の薬が効いたのだろうか。
部屋を出て師匠を探すと、一階の玄関ロビーでOL四人組と話をしていた。見るとみんな荷物を持っている。もうチェックアウトするところらしい。
「結局オバケ出なかったなあ」
「なにつまらなそうに言ってんのよ。一番ビビッてたくせに」
「ああもう。変な噂聞かなきゃ良かった! あんま寝られなかったわ」
「でもさ、ちょっと見てみたくなかった?」
OLたちは朝から元気に声が出ている。師匠は笑ってそれを聴いているだけだ。
「じゃあねえ。年下の彼氏くんも、バイバイ」
そんなことを言いながら彼女たちは僕らに手を振って、外にとまっていた旅館のバンに乗り込んでいった。旅館の中が急に静かになった。
勘介さんが運転するバンがゆるゆると発進していくのを見送ってから、僕は広間に用意されていた朝飯を食べた。焼き魚を中心としたシンプルなメニューだった。
しかし温泉たまごが小皿についていて、それがやたらうまそうに見えて、先に食べるか、最後にとっておくか悩んでしまった。
もう一組の親子連れももうチェックアウトした後だったので、客は僕と師匠しかいなくなったことになる。いや、もう客を装う必要もなくなったわけだ。
先に朝食をとり終わっていた師匠に、僕が体験したことをこと細かく説明しながら最後の温泉卵を残ったご飯の上に乗せて、小瓶に入った、だし醤油を垂らす。
「四回目の鐘で消えたか」
「はい」
味付け海苔の袋を裂いて、さらにその上に千切りながらトッピングする。それを勢いよくかき込んでいると、師匠が言う。
「捨て鐘の意味も理解しているということは、やっぱりこの土地の霊だな。昨日今日やってきたような浮遊霊の類じゃないのは間違いなさそうだ」
さらりと言った言葉の中に、師匠の思想が一本の楔のように通っている。



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