11/06/20 22:29:34.77 6L49WR9C
>>93続き。
-夫が京都の実家から来た義父母を連れてきた。初孫との対面だ。
義母「A子ちゃん、本当によくがんばっなあ、お疲れさん」
義父「さっそくやけど、孫の顔、見せてくれるか?おうおう、丸々とかわええなあ」
みな目を細めている。私は幸福感で一杯だ。就職した東京で知り合った京都出身の夫は、原発事故に
よる放射能の影響などあまり知らない。だけど、それでいいのだ。この子には過去など振り返らず、
未来をまっすぐ歩んでいってほしい。
義母「この子はトオルによく似てるねえ」(トオルとは夫の名前だ)
義母「そうそう覚えてる?あんたが福島におった頃、ずっとお世話になってたおっちゃん、
震災からだいぶ苦労しはったけど、なんとか農業も復興できて、また会いに来てって」
トオル「えーほんまに?ボク、あの震災の頃、ちょうどおっちゃんのとこに世話になってて。
区域外やったけど、あん時は大変やったなあ。子ども大きくなったら家族で行くわ!」
義父「あーそうしたり。あの事故で中断したけど、美味しい野菜やら果物やら送ってくれてたんや」
トオル「大した影響はなかったんやろ?」
義父「そうや。でも風評被害っていうんはつらいもんや。あの頃は作っても売れんかった」
トオル「ボク、ぎょうさん食べたで!」
-・・・このたわいないやりとりを聞いてる間、私は凍り付いて我が子を抱く手が小刻みに震えた。