バトル物ラノベを書きたいワナビ集まれーat MAGAZIN
バトル物ラノベを書きたいワナビ集まれー - 暇つぶし2ch50:イラストに騙された名無しさん
11/07/18 16:31:57.10 /E6SG9pP
 東京の一角、ビル群で埋め尽くされたこの街にまるで数百年前からタイムスリッ
プしたかのような緑地がある。この緑地は近所にあるスーパーマーケットの敷地
よりも狭い土地だが、そこに経つこの寺の存在感はスーパーマーケットの比では
ない。
 この寺は地元では有名な寺で、そこの和尚もまた地元では有名な悪霊祓いで
あった。今までに解決した心霊相談は数知れず、今までに預かったいわくつきの
品物も数知れず、そしてその実績以上にこの和尚の柔和で人懐っこい性格が悩
める人々を引きつけるのだった。
 だがしかし、この和尚でさえ彼―いや正確には『彼女』の前では呆れ顔のま
ま溜め息を吐くことしかできない。
「しかしなぁ」
 和尚の口から零れた言葉は、向かいに座る青年に
「そうですよねぇ」
 と返されるのみである。
 しばらく唸った後に和尚は『彼女』を見るために視線を落とし、和尚と向かい合っ
て座っている青年も『彼女』を見るために真横を見下ろした。『彼女』は口を開く。
「はぁ。やっぱり生臭坊主だったのね」
 声を発した『彼女』に驚くこともなく、もう何度目になるか、和尚と青年は視線を
交え、どちらからともなく溜息をついた。

「やっぱりダメね。そもそも私、悪霊とか呪われた人形とか、そんな類じゃないし」
 やや小さめのリュックに綺麗に収まったその人形は、リュックの中からくぐもった
声でやや反抗的に青年に言う。
「でもあの人は有名な人なんだぞ?テレビとかにも出てるし、きっとなんとかしてく
れると思ったんだが・・・」
 傍から見ればひとりごとを呟く危ない若者にも見えようか。そのことに気づき若干
居心地の悪くなった青年は頭だけ振り返ろうとして、それだけではリュックを見るこ
とができないことに気がづき、背中から体の前面へリュックを持ってくる。
「お前、ほんとなんなんだよ……」
 人形は応える前に数秒だけもぞもぞ動き器用にファスナーを開け、金髪の髪を
半分リュックの中に収めたまま顔だけ出して言う。
 「だから、普通の人形だって言ってるじゃない」


次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch