12/12/07 11:25:07.58 dhJQEy6z
「あのね…………ボルに似てるの」
誰だ、そいつは?俺はそいつの代わりなのか?
「あはははは~ちょっとぉ、それは失礼でしょ~どこが似てるのよ~あははは~」
「欠伸する時とか、寝起きの顔とか…………聞いてたの!」
見つかってしまった。心中穏やかではないが、極力平静を装って座布団に座った。嫁は真っ赤になって俯いていて、嫁友はクスクス笑っている。
「俺、誰かに似てるのか?」
「違うの!そうじゃないの!その、あの…」
しどろもどろな嫁は初めて見たが、俺はもやもやしていた。
「二人とも落ち着いて下さ~い」
「落ち着いている(つもりだ)が?」
「ボルってね、嫁子がちっちゃい頃から飼っていた犬の名前なんですよ」
「犬?」
「あ、あのね、ボルゾイっていう種類で、高校の時に死んじゃったんだけど、いつも一緒だったの」
「可愛がってたよね~」
ボルゾイ、ボルゾイ…スマホで画像検索。こいつだな…ふむ。中々凛々しい犬じゃないか。悪い気はしないが、相似点はどこにあるのだ?
「似てるか?」
「うん!ボルが人間だったら、俺ちゃんなの!」
嫁にとっては最大級の賛辞らしいが、嫁友大爆笑!喜んでいいのかどうかはともかく、長年の謎が解けたのは確かだ。
嫁曰く、普段の何気ない仕草や表情がそっくりだと。嫁自身恥ずかしいし、俺が気を悪くすると思って言えなかったそうだ。
三つ子の魂百までというが、こういう事も含まれるのだろうか。
可愛い嫁に可愛がられるのも中々良いものだ。