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アリとフルギヤ
ある日、伊勢丹で買い物を終えたフルギヤが外へ出ると、アリたちが歩いてきました。
「おい、アリくんたち。そんなに汗をびっしょりかいて、何をしてるんだい?」
「これはフルギヤさん、わたしたちはお金を運んでいるんですよ」
「ふーん。だけど、お金ならいっぱいあるじゃないか。
おれみたいに、楽しく服を買ったり、遊んだりしていればいいじゃないか」
「今は好景気だからたくさん売れるけど、不況が来たら、売れなくなってしまいますよ。
今のうちに準備をしておかないと、あとで困りますよ」
アリたちがそう言うと、フルギヤはバカにした様に、
「ハハハハハハッ。売れる売れる~大丈夫~。不況の事は不況が来てから考えればいいのさ」
そう答え、次の買い物をするために高島屋のビルに入って行きました。
そしてとうとう、寒い寒い不況の時代がやって来ました。
たくさんのお店が閉店し、賑わっていた街はすっかり活気を無くしてしまいました。
フルギヤのお店も、不況のあおりから倒産寸前にまで追い込まれてしまいました。
「ああ、お腹が空いたな。困ったな。どこかにお金はないかなあ。
…あっ、そうだ。アリくんたちが、お金をたくさん集めていたっけ。
よし、アリくんたちに少し恵んでもらおう」
フルギヤは急いでアリの家にやって来ましたが、アリは家の中から、
「だから、お金がたくさんある間に準備しておきなさいと言ったでしょう。
家には家族分のお金しかないから、悪いけど、フルギヤさんにはあげる事が出来ません」
と、言って、玄関を開けてくれませんでした。
フルギヤは雪の降る繁華街の真ん中で、寒さに震えながら飢え死にしてしまいました。
今、売れているからといって楽をしているなまけ者は、そのうち痛い目にあうというお話しです。