10/10/06 19:55:42 /bZz/c7P0
都心に建つ高級マンションの前でタクシーは停まった。
「すごい所に住んでるんすね」
「若い女が一人暮らしするには、セキュリティーがちゃんとした所じゃないとダメだって、両親がうるさくってね。もう24歳だから子供じゃないのに…」
俺はカメ子さんの肩を抱きながら、ピカピカに磨かれた大理石のエントランスホールまで連れて行き、お別れの言葉を告げた。「それでは、僕はここで」
「待って、お願いがあるの」
「なんでしょう？」俺は気さくに微笑みかけたが、カメ子さんが緊張した面持ちでつぶやいた。
「あなたのE-PL1で私を撮って」
「えっ？」
「だって、今日１枚も写真を撮れなかったでしょ。ニコンオヤジのせいで。そのお詫びって訳じゃないけど、私はあなたに撮られたいの…」
「でも、どんな写真を撮ったら良いのか…」
「どんな写真でもいい。あなたが一番撮りたい写真。あなたが一番見たい私の姿を撮って」
そして30分後。俺はカメ子さんの部屋のベッドに腰掛けて、彼女がシャワーから出てくるのを待っている。