12/11/27 19:40:32.60
評価お願いします。習作というか、とにかく何か書きたくて作りました。
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目が覚めて最初に頭に浮かんだのは、「眠い」の二文字だった。とろとろする瞼を開けて時計を見る。授業に間に合うには、あと五分で起きなければいけないが、これは無理だと毛布を被りなおした。
体重く寝返りをうつと飼い猫の尻が眼前にあった。寒い季節には毎夜布団に潜り込んでくるのだ。黒い尻尾は丸いから邪魔をしない、しかし屁をふられてはたまらんので間を空ける。
背中を触るとひんやりしていたので、あとでこたつをつけてやろうと思ったとき、音が鳴りだした。
私はすばやく立ち上がって前方を睨んだ。魔王の使い魔が攻撃を仕掛けてくる警報音だ。どこからか風に乗ってかすかに聞こえてくる。前方、荒野の向こうにはやつの棲み家が見えた。
敵は暗雲渦巻く巨城にあり。いざ魔王を倒すのだ。
肩越しにちらと目をやれば、たった一人着いてきてくれた仲間がいる。見た目は二足歩行の黒猫でしかないが、これが非常に賢いやつで、戦闘から治癒魔法から古代語解読まで万能なのだった。
それで国王から、旅の伴に、心強かろうと寄越されたのである。黒猫は理知的な青い瞳をこちらに向けた。
「この先、とんでもないものが待ち受けているぞ」
「大丈夫だ。俺もお前も万全の状態なのだから」
「そうではない」
黒猫のくせにハアとため息をついたやつは、何事か呟いた。
「何だ、聞こえん」
「……だから、時間がないと言っているんだ」
時間とは何のことなのか。また自分だけものを知っているようなそぶりを見せる猫に眉根を寄せていると、遠くから獣の唸りのような音が聞こえてきた。
使い魔が来たか、と剣を構えたが、異常は足元から来た。地面にひびが走ったかと思うと瞬く間に崩れていく。
粉塵のように舞う土の中でもがくだけの私を、猫は前足を組みながら険しい表情で見つめていた。だから言ったのだ、と口だけで囁く。真っ暗な奈落の底に落ちながら手足をばたつかせると、そこではっと気がついた。
目覚ましがピーピー鳴いていた。黒い飼い猫は青い瞳でこちらを見ていた。瞼はどろどろしているし、寝ぼけながらもがいたせいで心臓が変に脈打っている。
今日は授業サボろう。
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行が長すぎてエラーになったのでところどころ変な改行かもしれません