12/12/24 07:21:25.52
「ほら、さっさと準備しなさいよ。本当にもうグズなんだから。」
大晦日の午後十一時過ぎだった。郵便局の時間外窓口に書留速達を出しに行くと言ったら、
わが妹がついでにコンビニに連れて行って、と言い出したのだ。
「レターパックならポストに投函できるのに、バッカじゃないの?」
「どうしても今日の消印が必要なんだよ」
どうせ馬鹿にされるだけだから、小説を書いていることは家族には言っていない。
もっとも、そうでなくても妹にはすでに十分すぎるほど馬鹿にされているのだが。
ダウンジャケットをもたもた着込んでいると、顔を近づけてくる。起毛のスパッツが目に入る。
「どうせ頭の中じゃ、アタシに消印押すことばっか考えてるんでしょ? この変態」
「んなワケねーだろ!」
「ジャケットの袖、左右逆だよ」
ジーンズの前部分がにわかに目立ち始める。俺はへっぴり腰になって袖を抜きにかかった。