12/08/12 09:15:15.64
劇場映画のタイトルを題名にした1レス以内(30行、900文字くらい?)の掌編を書くスレです。
内容は、元の映画とは全く関係ない話を推奨しますが、元映画の人物、設定が出てくるものでもよい。ただし元の映画を見ていなくてもわかる内容にすること。
名前欄、もしくは本文1行目に『七人の侍』などの題名をつけて作品を上げて下さい。
最後の行に、次のお題の映画を指定して下さい。書き切れない場合は、10分以内なら次レスに出してもよい。
同じタイトルのお題を連続して指定(パート2ものを含む)するのはご遠慮ください。
指定しない場合は、自由制に移行します。自由制で同じタイトルが何作も上げられるのは構いません。
お題を指定してから翌日曜日午前0時をすぎても該当作品が上げられない場合でも、自由制に切り替わります。
まあ、誰も食いつかなかったとして忘れましょう。
(ちなみに土曜日にお題を指定すると即、翌日の日曜日0時に流れます)
Q 『怪物くん』『エースをねらえ!』は映画のタイトルになるのか
A 劇場映画として存在します。自由制で自分が書くのは構わない。お題で指定されて書きたくなければ見送って下さい。
Q 自由制で書きたい。流れるのを待っていられない。
A 一言そえて発表してOK。ただしルールに基づいた他の作者のお題指定は、日曜0時の締め切りまで生き続けます。
最初のお題は『トータル・リコール』でお願いします。
2:名無し物書き@推敲中?
12/08/12 17:48:28.08
このスレ、リコールで。
3:トータル・リコール
12/08/15 21:10:41.03
ドーン、と凄い音がした。
「またやったな」と僕は思い、頭の中で、クラッシュした車の残骸を想起した。何度も見ている光景だ。
音がした近くの国道は、緩やかなカーブになっており、事故が絶えない。
僕は近くに住む者として一応様子を見に行った。
トレーラーが横倒しになっていた。他に車はいない。元々さびれた場所だ。民家もない。
「大丈夫ですか?」と僕は運転席のほうに声をかけてみた。
「ああ、俺はいい」エアバッグをかき分けて、スキンヘッドで目つきの鋭い男が顔を見せた。無事らしい。
「悪いが積み荷を見てきてくれ。逃げられたら困る」
家畜でも運搬していたのか、と思って、僕はトレーラーの後ろに回ってみた。
横倒しになった荷台の扉が壊れて半開きになっている。
そこからごそごそと音がして、何本かの白い手が、にゅっと出てきた。
それは、全裸の少女だった。一人、二人……いやたくさんだ。何人もの金髪の少女が、ゾンビ映画のような緩慢な動きで中から出てきた。
「皆、同じ顔をしている!」
少女達は、状況に慣れてきたのか、だんだん動きが速くなり、四方八方に歩き出していった。
「捕まえろ、一人残らずだ!」運転手も車から出てきて僕に命令した。彼はスタンガンのような物を彼女たちに打ち込んで、動きを封じ、手際よく荷台に放り込んでいく。
僕も手伝わざるをえなくなり、素手で裸の美少女を捕まえた。
白い肌に触れる罪悪感みたいなものはすぐに消えた。彼女たちは人間ではない。
騒動が終わってから男から聞いた話だが、彼女たちは新型のアイガンドロイドで、初期不良のために回収されたのだという。
「全部リコールだよ。全てプログラムを入れ直しせにゃならん。個々に微妙な個性があるから一度にできない。やっかいな商品なんだ」
男はどこかに連絡を取った。暫くして小型のワゴンが数台到着し、彼女たちは全員無事に?回収された。
僕は男から僅かばかりのチップ(ピンク色の外国の紙幣のようだった)をもらって、何か損をしたような気分になって、誰もいない自宅に帰った。
どうやら鍵をかけ忘れたらしい。僕は開いたままのドアから家に入って行った。
「お、おじゃましてます」
「君は!」
あの何十体もの裸の少女たち、その一人が、僕の部屋の炬燵に入ってテレビを見ていたのだ。(完)