12/05/28 22:51:21.85
とはいえ、ひとつの傾向になびくことなく、常に意想外の作家と
作品が飛び出してくるところに、ホラー大賞の不思議な特質がある。第12回(2005)大賞の恒川光太郎『夜市』は、
その典型であった。エキゾチックな異界ファンタジーさながらに始まった物語が、
いつしか仄暗い見世物小屋幻想の魔界へと迷い込み、
誰も予想だにしなかった衝撃のクライマックスを迎える展開には、
いま読みかえしても驚歎を禁じえない。
こうした意外性と革新性は、(2009)の宮ノ川顕『化身』という近年の大賞作品にも当てはまる。