12/05/19 21:24:40.35
つるっぱ毛とロン毛の前方ハゲはどちらがいいのだろうか?つるっぱ毛は潔いと云えるが味気ないと思え
る。一方、ロン毛の前方ハゲは往生際の悪い男にみえるかも知れないが、なかなかいい味があり、奥深い
何かがハゲに宿っている気がする。そんなことを思考し、日々危機迫る自己現実に直面するのもすぐであろ
うと思われた。
まだ三十路に辿り着くには誕生日パーティーを5度ほど通過する必要がある私である。悲劇である。許せん
。実のところこの悲劇的な、男性ホルモンがそうさせる現象に対して選択肢はすでに決まっていた。つるっぱ
毛である。しかし、いやしかし、果たしていいのかという疑念は私の決心を揺らつかせた。サイドにある黒髪
は艶やかで若若しく、帽子を被っているとまさか脳天が鳥取砂丘の如く砂漠化しているとは想像できないほ
ど生き生きとしているからだ。非情である。
ところで私は普段は流行りの帽子を着用する。ただ好きだからである。いや帽子収集家と云われても過言では
ない。旅先では常に帽子を旅の土産に買いあさり、普段の生活も昼間に限らず夜間でさえ帽子を着用する
いわばマニアである。にも拘らず近年、なぜか帽子を被り続けるのが後ろめたくなった。私自信がオシャレ
で装着しているにも拘らず、街ゆく人間がハゲ隠しで帽子を被っていると断定的に決めつけるということが
蓋然的に想像できるからであって、いや、あるまいかという不安。つまりこれらの人の安易な想像が街中の
赤外線と同等量で漂っていると感じるからだ。
まだ若々しい横の毛を剃ってつるっぱ毛にするのは、非常に罪悪感を掻き立てられるのもしかりであって、
果たしてどうするべきであろうか?
明日は彼女に打ち明けるべきであろうと、私は揺らぐ思いを胸に長い横髪にカミソリを入れた。