ワイが文章をちょっと詳しく評価する![21]at BUN
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![21] - 暇つぶし2ch45:982
12/05/06 02:18:20.58
「みんな、聞いて」加奈が大きな胸に片手を当てて、言った。
 木造住宅の一階、部屋には、全員、同じ高校の2年生の加奈、美鶴、真司、悟の四人がいる。皆が緊張した顔をしている。
「この机の上には、ケーキが三つしかないわ」加奈は続けた。「一つ、足りない」
「誰かが食べたって事?」美鶴が不安そうな顔をする。「俺、食ってねえし」真司がかぶりを振った。
「そうね。確かに誰かが食べたという事も考えられる。でも、見て」と食器棚を指差した。
「皿が……戻ってる!」ここで、押し黙っていた悟が声を上げた。「誰かが食べて、洗って、戻した?」美鶴は自分の考えに固執した。「違うな」真司は難しい顔をした。
「そう、違う。これは最初から、机の上にはケーキが三つしかなかったって事よ」加奈が断言した。「なんだって!?」悟は狼狽した。「ってことは、一人多い!?」
「そう、ケーキが足りないんじゃなくて、人が一人多い」加奈は周りを見回した後に続けた。「この家に、歓迎されていない、招かれざる客がいるって事よ」
 皆がお互いの顔を見合わせる。
「俺はこの家の人間だ。それに、ダチを歓迎しないような人間じゃねえ」真司が怒気を含めて言う。「私、真司に来ていいって言われたわ!」美鶴が今にも泣き出しそうに叫んだ。悟は、しばし黙った後に、「本当に、誘われていない人間がいる?」と呟いた。
 加奈がイラついた様に言った。「ここには三つしかないのよ。それ以外に考えられないわ」学校では明るく人気のある加奈の姿が、そこにはない。「誘われていない犯人は、この中にいるわ!」加奈が断言した。
 その時、部屋の扉が開いた。
「ケーキ囲んで何やっとんの? それ、お客様用やから、食べたらあかんで」
「母ちゃん!」真司が叫んだ。「私達のじゃ、ない!?」美鶴がうめく。「……良かった。犯人はいないんだ」悟がほっと胸をなでおろした。
「えっ! どういうことですか?」加奈が驚愕の表情で叫んだ。
「せやから、今日、親戚来るから、ケーキ用意しとってん」真司の母がさらっと言う。
「わ、私は、最初からみんなを信じていたわ」取り繕うように加奈が言った。
「加奈……」真司が静かに呟いた。「招かれざる客は……」美鶴が真司に続けた。「君だよ」悟が最後をしめた。

 外に追い出された加奈が叫んだ。
「もう! どーなってんのぉー!!」


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