12/05/15 02:35:51.81
今日こそ有美子にすべてを打ち明けよう、俺は覚悟を決めた。
園美が寝たことを確認すると、これまでのいきさつを有美子に話した。
秋葉と不倫していること、彼女を心から愛していること、そして離婚を望んでいることも。
しばらくの沈黙の後、有美子は口を開いた。
「あなたが決めたことなら、それで構わないわ」
予想外の返答にしばらく唖然とした。この妻は興奮して騒ぎたてないのか。
「本当に離婚してくれるのかい?」俺は訊いた。
「ええ、あなたの心はとっくにその秋葉っていう子に向いてるんでしょ?だったら
きっぱり別れて、新しい道を歩むほうがお互いに幸せだと思うの」
「そうだな…ありがとう」
今さらながら、なんて良くできた妻なんだろうと感心した。
他の女だったらこうはいかなかっただろう。半狂乱になって、
下手をしたら刺されていたに違いない。
翌日、有美子はカフェにいた。
「夫はすぐ別れさせてくれたかい?」
男は有美子に尋ねた。
「ええ、まさか向こうから離婚を切り出してくるとは思わなかったわ」
「そうか、よかった。これからは二人きりで暮らそう」
「はい」
有美子の表情は幸福感に満ちていた。
彼女の薬指にはキラキラと光るダイヤの指輪がはめられていた。