ワイが文章をちょっと詳しく評価する![21]at BUN
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![21] - 暇つぶし2ch40:966
12/05/06 02:03:30.68
小池悠斗は驚愕した。高校二年、帰り道の彼を突如取り囲んだ黒マントの三人組。そこに更に乱入したのは、幼馴染の草間あゆりだった。彼女は大きく宙を舞い、悠斗を飛び越し、さらに三人組も飛び越して、華麗に着地したのだ。
「え、何いまの」ただ跳んだ意味がわからなかった。
「魔術師軍団、現れたわね」あゆりはゆっくりと振り返る。「十年待ったわ!」
そうして三人組を迂回して、悠斗の元に駆け寄った。
「……あゆり、こいつら知ってるの?」
「世界征服を企む、秘密結社よ」さっきと微妙に違う。適当を言ってるなと悠斗は思った。こいつは昔から虚言癖がある。目立ちたいだけだ。
黒マントの一人が声を発した。「   」
それは音にならない声だった。掴みどころのない気持ち悪さだけが、二人の耳に残った。
「何こいつら。どうなってんのっ!」
「知らないのかよ、やっぱり!」
三人は同時にフードを下ろした。醜悪な顔が現れた。例えるならばガーゴイル。脈動する肉質を見て、悠斗は絶句した。
「ひいい」しょろしょろと音がした。あゆりの脚を液体が伝った。悠斗は冷めた目で見た。
「これを、か、かければいいのよ!」やけくそで地面の尿を掬ってかけた。
ガーゴイルは意に介さず、マントの中から槍を突き出した。
「だめじゃん! うわ」悠斗は必死に躱したが、「うっ」二撃目でついに胸を貫かれた。血を吐いて、膝から崩れ落ちた。
「悠斗!」あゆりは彼の身体を揺すった。出血が酷い。助からない。「い、嫌だよ」涙が零れた。
薄れゆく意識の中で、悠斗は頬につく温かさを感じた。あゆりの尿だった。うっかり、口で啜っていた。し、しょっぺぇ。
途端、彼を光が包み込んだ。あゆりは驚いた。悠斗が目を開いていた。息を吹き返したのだ。
二人は頭の中に声を聞いた。〈聖水による契りは交わされた―。現代に蘇りし精霊、そして精霊使いよ、封印された記憶を取り戻しなさい〉
あゆりははっとした。手をかざして一心に念じた。
すると悠斗は立ち上がり、鬼神の如く暴れた。ガーゴイル達は切り裂かれ、無残な肉塊となった。
立ち尽くす二人に、声は言った。
〈あなたたちはその力で、世に蔓延る魔と戦うのです。さあ、契約完了の証です。握手をなさい〉
「汚いので絶対嫌です」
「お前の小便だろ!」


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