12/04/01 19:40:22.30
「あれっ」
ブブー、だって。なんかSuicaが弾かれるんだけど。どゆわけ? あたしこれから学校なんですけど。
なんか隣の改札でもおんなじことが起こってる。わあ、サラリーのおっさん超苛立ってる。「どーいうこった駅員!」だって。
「少々お待ち下さい」駅員が飛んできて改札を調べ始めた。ひとしきりいじってから、「うーん、ちょっといいですか」って手を出してきたので、Suicaを貸してあげた。ブブー、エラー音。「あれぇ」
「あれぇ、じゃねえよ! 電車間に合わねーだろ、くそ」おっさんはそう言って券売機に向かった。あっ、切符か。イライラしてても、やっぱり大人だなぁ。頭いい。あたしも真似しよう。
ブブー、切符は改札から戻された。おっさんは無言で仕切りを跨ぎ、乗り越える。「いいよな、金払ったんだし。ほら、あんたも来な」差し出された手を握って、あたしは改札の向こうへ。うへえ、べたべたしてるう。けどなんかロマンスかも。
並んで階段を駆ける。あたしとおっさんがホームに出たと同時に、閉まる電車の扉。「あー!」間に合わなかった。
「くそっ、カスJRのせいで」携帯を取り出して電話をかけるおっさん。「遅刻の連絡だよ。あんたも学校に一応かけな」
「そっか」あたしもスマホを出して電話をかける。プルルル、プルルルル……。
ブブー。
「ええー?」いったいどゆことよ。隣を見るとおっさんも同じ状態みたいだし。あたしたち、ハメられてんの?
と、そのとき、おっさんとあたしの間に謎の亀裂発生。「え?」そこから現れる豚のような生物。驚くあたしたちに、豚は言う。「僕は次元の管理豚。君たちは別の次元から来たようだね」
「なんだそりゃ」とおっさん。
「次元バグの影響かな。戻してあげたいけど、バグを全部消してからじゃないとダメなんだ。手伝ってくれる?」
こうして、あたしとおっさんと豚の次元バグ修正の旅は始まった。相棒がおっさんかぁ、って思うけど、彼氏に振られたばっかだし、こういう出会いもいいかな。