12/03/16 01:16:26.17
「もう砂ぐらいしか浚うものはないし。」
晴れた日は、風が吹かないから、歩いた後以外砂一粒だって動かない。
生物が居ない。私の足音しかしない。私は地面から目線を上げた。
「本当に、何も無いんだな。」
太郎は顔を覆って、その場に座り込んだ。
「わかっていた事でしょう。」
私も足を投げ出して座る。
「俺、もっと勉強しとけば良かったな。」
太郎が無念そうに言う。あんまりらしくないので笑ってしまった。
「いいのよ。」
「何がいいんだよ。」
反射的に言い返されて、言葉に詰まってしまう。太郎は少しむっとしたようだ。
焦って答えを探した。頭をぐるぐる回転させて、心と言葉を照らし合わせる。
「もう、充分だから。」
そう言った瞬間、目があって、何故か顔をそらしてしまう。どぎまぎしながら反応を待つのに、太郎は何も言わない。やはり舌足らずだったろうか。
伝えたいことは上手く言葉に出来なかった。だから、慎重に肩を寄せた。
顔を向けると、泣きそうな貴方がいた。夕日に真っ赤に染められて、鳥肌が立つほど綺麗だった。震えるように口づけをした。太陽は地平線に燃え落ちていく。もうじき世界が、光を失うのだろう。
舞台は異常気象とかやばい衰退していく世界、場面は幼馴染との別れの直前。太郎が勉強してたら別れずにすんだかもしれない。お願いします。