12/01/19 22:51:55.71
<この国はどこへ行こうとしているのか>
◇思想をかけた議論を--東浩紀さん(40)
「子どもにとって学校とは、何年も友達と過ごす一つの世界です。突然、その世界から切り離されてしまった。これは暴力です」
(中略)
「小学校には子どもたちのランドセルがそのまま残されていました。子どもたちの習字や工作も放置されたまま。誰もいない教室の光景が深く印象に残っています」
「この暴力は、原発事故が起こした。少なくとも地震と津波による単なる天災によるものではない」
被災地の話になると、言葉は熱を帯びてくる。
<震災でぼくたちはばらばらになってしまった>
昨年8月、言論誌の巻頭文にそう記した。今も状況は変わっていないと感じている。
(中略)
そして、原発事故対応に「もし」が許されるならと前置きし「一時的なパニックを招いたとしても政府は初期段階でメルトダウン(炉心溶融)を公表しておけばよかった。そうすれば、ここまで信頼を失うこともなかった」と指摘した。
「日本政府は、単純に言って、謝罪すべきだと思う。初期段階で事故の規模を見誤った。意図的な情報操作もした。
見通しの甘い原発政策で歴史ある町や村を放棄せざるをえない状況になった。これは政府の責任であると謝罪しなければ、話が始まらない」と力を込める。
しかし、謝罪の言葉は誰からも語られず、日本は年を越した。
「3・11以降、やはり思想のようなものが必要なのかなと思っています」。東さんはそう話す。
(中略)
突然、カタカタと研究室の本棚が音を立て始めた。地震だ。東さんは「大きいですね」と少しの間を置き、続きを語り始めた。
「僕は『一般意志2・0』という著書で、日本から始まる新しい民主主義の形を提案したつもりです。脱原発にしろ、別の目標にせよ、最終的に国家論、国の形に結びつかないと一時的な運動で終わってしまう」