11/12/29 15:42:00.78
この「無惨百物語」には着色が施されている。それが私には、臭い過ぎた。
着色とはこの場合、本文中の描写や比喩があげられる。
例えば(P71)「死んでから数日経っていたらしく、筋肉が緩んで垂れた糞尿と溶けた内臓の汁で、布団は真っ黒に染まっていたという」
(P93)「まだ柔らかい仔犬の体は、水風船が割れるように真っ赤に散った」「鼻が潰れ、ぴんと立っていた耳が血の重みで垂れ下がり、眼窩が砕けて目玉がくしゃくしゃになるまで殴った。」
(P100)「・・・頭部を強打して跳ね返り、頭の中身をぶちまけながらゴミ捨て場のコンクリで出来た囲いに激突した。」
(P201)「伯父を続けざまに轢き潰した」「遺体は、ねじれた赤肉の塊になっていたそうである。」
全編に渡り、この種の描写や比喩が用いられていた。これにより、おどろおどろしい雰囲気が演出されているわけであるが、
私にはどうしてもこの演出自体が鼻についてしまう。
客観的に事実だけを記せば、怪異が研ぎ澄まされるのではないのだろうか?