12/01/12 13:03:28.41
「ちょっと待てよ!」
俺はついに耐えきれなくなってそう叫んだ。
「どうしたんだよ佐藤」
「さっきからお題がおかしいだろ?なんだよ日本の名水百選とか、日本の名道五十選とか挙げ句の果ては日本の灯台五十選だと?ふざけんな!」
現在俺は三対三の合コンの最中だ。しかし場を盛り上げるために始めた山手線ゲームで六回も罰ゲームをくらっている。それもこれも男友達の田中のマニアックなお題のせいなのだ。
「おいおい落ち着けよ佐藤、まずそこにあるピザでも食べて……なにが不満なんだよ?もしかして灯台よりダムのほうがよかった?」
「ちげーよ!お題がアンダーグラウンドなんだよ!誰が灯台なんて答えられるんだよ!女の子が可哀想だろ!」
「石廊埼灯台……」
一人の女の子が口を開いた。すると隣の娘も。
「はーい私もー犬吠埼でしょ、野島埼、観音埼……」
三人目の娘も口ごもる事なく。
「私は美保関と出雲日御埼くらいかな」
何なんだこいつらは、俺がおかしいのか?俺に教養がないからなのか?足下がぐらつく、常識が崩壊して行く……。
「な、佐藤、文句言ってるのはおまえだけなんだって、自分の無知を人のせいにするなよ……」
俺はそれ以降一言もしゃべらなかった。壁に掛けられているポスターには「皆でわいわい楽しく呑もう」と、この店のマスコットが俺を嘲笑っていた。
次題 「アンプル」「自殺」「配電盤」
387:「アンプル」「自殺」「配電盤」
12/01/12 17:15:01.49
「アイタタ、痛いですよ!」
「ンー、間違ったかな?」
「プラナリアみたいには再生しないんですから、人間の足は!」
「ルルでも飲んどけば、治るだろ」
「自戒の念もこめて言っておきます。あなたはゴミだ!」
「殺されるよりはマシだろうが」
「配慮が足りない! 私はもっと慎重にやりました」
「電動ドリルでガタガタとか?」
「盤桓してたら、あなたの命はありませんでしたよ」
次は「L」「知ってるか」「リンゴ」
388:L、知ってるか、リンゴ
12/01/12 21:39:21.25
「知ってるか?」
ジェームズはビートルズのLPジャケットを取り出した。少し色あせている。
「”アビイロード”じゃん。相変わらず古いのね」
シンディは呆れた。
「アビイロードなんて誰でも知ってる。問題は―」
「わかった。ポール死亡説。あほくさ」
「違うよ。もっとディープだ。この二番目のリンゴ・スターが特殊撮影で身長を伸ばしてるって話」
シンディはぷっと爆笑した。
「へえ、どこどこ、どうやってリンゴが身長を伸ばしているの? ドリームワークスがやってんの?」
金髪の娘は、四人のメンバーが歩いているジャケットに顔を近づけた。
その瞬間、ジェームズはシンディの顎を手で持ち上げて、桜色の唇を奪う。
「何よ、キスしたかっただけじゃん」
しかしシンディもまんざらではない。
「んもう、知らない!」
次は、プリンセス、ダービー、麻雀
389:プリンセス、ダービー、麻雀
12/01/12 23:23:32.25
昔々、ある国にプリンセスがいました。
しかし、大変なギャンブラーで、ダービーは専用の競馬場を作り、プリンセス杯を創設し、麻雀も専用の雀荘を作り、独自のルールを取り入れたプリンセス麻雀を考案したほどです。
王女を何とかギャンブルから手を引かせたい王子は、とある噂を聞きつけ、隣国から天才雀士を招聘しました。
王子「よく来てくれました」
赤義「倍プッシュだ」
王子「え?」
赤義「そんなはした金じゃやってられねえ」
王子「もちろん報酬ははずみます」
赤義「金はいらない。王女が破滅するまで続行だ」
王子「それはちょっと……」
かくして、赤義が勝ったら王女はギャンブルから手を引くこと、王女が勝ったら金輪際周囲は王女の素行に口出ししないことを条件に、プリンセス麻雀が開始された。
次は「放浪」「青い花」「先輩」
390:プリンセス、ダービー、麻雀
12/01/12 23:24:46.39
最後
開始されました。
に修正お願いします。
391:「放浪」「青い花」「先輩」
12/01/13 01:06:16.22
「先輩は青い花って知ってますか?」
「青い鳥?」
「鳥じゃなくて花です」
「知らないな」
「私たちみたいな女の子を描いたマンガなんです」
「ふーん」
「ふーんって、読みたいとか、おもしろそうだねとかないんですか?」
「香代は、私との関係をおもしろいと思ってるの?」
「そういう意味じゃ……」
「あはは、ごめん、ごめん」
「先輩は意地悪です」
「お詫びに、ほら、口を閉じて」
「いきなり、ん、あ……」
「香代の口は柔らかい」
「先輩だって」
「自分じゃわからない」
「私もです」
そんな先輩が卒業して早一年。放浪の旅に出たと伝え聞いた。
当時一年生だった私も三年生。女子部の部長をやっている。
次は「女子部」「憧れ」「リアル」
392:女子部、憧れ、リアル
12/01/13 22:21:06.14
『さる未明、女子部にて火災が発生し、家屋が全焼しました。町内でも憧れの
的だった十一名の女子部員は間一髪で全員脱出し、けが人は寮長の坂本ミク(20)
一名のみ。現在彼女は病院で手当を受け、右目に眼帯を付けているそうです。
消防庁の調べによると、リクリエーションルームに設置されていた三菱の液晶
テレビ「リアル」(55V)が、何らかの理由で発火に至ったらしいとのこと
です』
ここまで見て、アンティはベッドに投げ出した脚を組み替えてテレビを消した。
「ちぇー、誰も死ななかったのか。つまんねーニュースだなー」
一緒に見ていた妹のストローキングは飽きもせずにチョコパフェを口に入れつつ、
「でもアンティ、うちのテレビは三菱じゃなくてよかったわね。確かブラビア
だったかしら」
「あったりめーよ。ソニーだぜ。ソニーっていやあ世界のソニーだよ。突然発
火してボッなんてわけがあるかい!」
まことに不幸なことに、二人の姉妹はソニータイマーの存在を知らなかった。
その夜、二人の寝室のブラビアが大爆発することになるのだが、その続きはま
たいずれ―
つぎは……バラの花束、試作品、星座占い
393:「女子部」「憧れ」「リアル」
12/01/13 22:32:58.03
『放課後、校舎の片隅で、遠くに聞こえる生徒たちのざわめきは、波の音にも似て、やがて風に溶け、そこには、ただ見つめ合う二人が……』
「何度読んでもいいですよねえ」
「んなの、リアルにいるわけねえだろ。キモイんだよ」
「何を言ってるんですか、京子さん。これこそ究極の恋愛。我が女子部が目指す理想の愛です!」
「んー。まあ、いいけどさ。早絵が好きなら、そういうの」
「はい!」
興奮しながら黙々と本を読む早絵を京子が一瞥する。
「……んか違うんだよな、私が思っているのとは。もっとこう……」
「こう?」
「うまく言えねえけど、気づいたら付き合ってる、みたいな? 儀式みたいのはいらねえんだよな」
「儀式があるから、いいんじゃないですか! 覚悟を決めて、もう後戻りできないんだぞって。退路を断って、前進あるのみ。ぐひひ……」
「京子さんには、憧れとかないんですか?」
「憧れねえ……」
頬杖を付いて、窓の外に視線をやる京子。
「早絵と一緒に遊園地に行くこと」
「え?」
「なんでもねえよ!」
お題は392さんので。
394:バラの花束、試作品、星座占い
12/01/13 23:33:20.44
「どう? 平気?」
「うん、兄さん」
「じゃあ、もう一本」
「あ……」
「痛かったら声を上げてよ」
「平気だよ、兄さん」
「じゃあ、もう二本」
「あ、あ」
「今日の星座占いで、バラの花が運をもたらすって出てたんだ」
「アッー」
「ほら、バラの花束の完成だ」
「……兄さん、ぼくにも見せてよ」
「この鏡を覗いてごらん」
「綺麗だよ。まるで、ぼくじゃないみたいだ」
「これはほんの試作品。少し休んだら、本番を始めよう」
次は「初恋」「苺大福」「国会議事堂」
395:初恋、莓大福、国会議事堂
12/01/15 19:18:28.51
深夜、薄暗い国会議事堂内を、一人の男がひたひたと歩いていた。
議事堂内の警護をしている衛視が懐中電灯を照らして彼を呼び止めた。
「こんな夜中に何者だ?」
「馬鹿、わしだ。わし」
「あ、総理でありますか。失礼しました」
男の名は野田佳彦。現職の総理大臣である。
「中央塔に用がある。行かせてもらうよ」
「しかしあそこは、普段でも立入禁止ですが」
「君、申し送りをしてないのかね。実は一ヶ月前も中央棟に行ったんだ。
ところが忘れ物をしたことに今気づいてね。それを取りにいくんだ。何か文句あるかね」
「いえ、ございません。失礼しました」
衛視は敬礼してその場を去った。
野田総理は中央広間の隅にある板垣退助の銅像の首を両手で捻った。
すると天井のほうで、ぎぎいと機械の動作音がした。開かずの扉が開かれたのだ。
野田総理はほくそ笑むと、階上の中央塔へ向かった。
中央塔とは、議事堂の真ん中のピラミッド部分にあたる場所である。
野田総理はその頂上の展望室に入った。
展望室の真ん中には六芒星をかたどったテーブルがあり、その上には
一個の莓大福が小皿と共に置かれてあった。
野田総理はそれを手に取るやいなや、驚愕のあまり目を剥いた。
「おお、一ヶ月前はびっしりと黴が生えておったのに、今は嫋やかな女人の柔肌のようではないか。
この塔内、噂には聞いていたが素晴らしい蘇生パワーが集中しているようだな」
鯰とあだ名された男は、思わずそのイチゴ大福をぱくりと口に入れてしまった。
「ううん、美味しい。初恋の味、とはこういうものだろうか―」
思わず学生時代の淡い思い出に浸る総理だったが、すぐに我に返った。
「し、しまった。これは食べてはいかんのだった」
遅かった。まさか吐き出して元に戻るものでもない。そこまでのパワーは中央塔にはない。
野田総理は慌てて証拠物件を全て胃に収めると、慌てて夜の国会議事堂をあとにした。
(どこかのコンビニに、あれと同じイチゴ大福があるといいんだがな……)
次「傘がない」「夢の中へ」「氷の世界」
396:名無し物書き@推敲中?
12/01/15 19:58:34.70
旅先で小腹が空いて、和菓子屋に入ったのだった。
他にも美味しそうな食べ物を提供してくれそうな店はあったけれど、店の入口に貼られた、きっと店主が筆でも使って書いたのだろう「今日のひとこと」が心のどこかに引っかかった。この店はなんとなく信用がおけるような気がした。
公園に設置された木造りのテーブルで、彼は苺大福の包みを開けた。
それは丸々として巨大なもので、店が菓子切を一緒に付けたことにも合点がいった。さて切ろうと大福の中心に菓子切を当てて、そこで手が止まった。
苺大福には苦い思い出があった。小学校の頃、社会科見学で国会議事堂に向かう道中、当時好きだった女の子に、食べかけの苺大福をもらったのだった。
皮の噛み切られた部分が唾液で湿っていて、食べていいものかずっと迷っていた。そのせいか、国会議事堂の中のことはほとんど何も覚えていないのだった。
彼は後悔した。後悔していたことを、久し振りに思い出した。結局、あの苺大福は、解散してから、コンビニのゴミ箱に捨てたことも、本当に久し振りにーー
俺は何で、あのとき苺大福を食べなかったのか。あの子に、その真意を問い質すことが出来なかったのか。
記憶の中に微かに残る国会議事堂と、ショートカットのよく似合う美人だった女の子を、苺大福に投影して諸共真っ二つに切った。
苺大福は柔らかく簡単に切れ、中には大量のこし餡と、粒の大きく真っ赤な苺が入っていた。この苺は切らずに済ませたかったな、と頭の落ち着いた部分が言っていた。
スマホで書いたので行数が合ってるかわからないです。すいません。
次は「経済」「大河ドラマ」「炎上」
397:傘がない、夢の中へ、氷の世界
12/01/18 23:30:04.77
モニター越しの眼下に、一面の氷の世界が広がっていた。
「おい、本当にこんなところに降下するのか?」
俺は尋ねた。窮屈な飛行機の中だ。
俺が話しかけたのは、前を向いたままの相棒の操縦士。
「ああそうだ。我慢しろ。やっと見つけた仕事なんだ。それとも欲しくないのか、五千万?」
操縦桿を握っているギャプランは素っ気なく言った。
こいつは操縦桿を握ってる限りは、下に降りる必要はない。いい気なもんだ。
「なあギャプ、たまには交代しないか」
「そいつは断る。ま、お前が操縦免許持ってるなら少しは考えてやらんでもないがな」
「くそ、もし俺が凍死したらお前の夢枕に立ってやるからな」
「俺の? 夢の中へか。そりゃ歓迎だな。しかし俺の夢の世界はここよりひどいぜ」
「だろうな。おっと時間だ。降りるよ」俺は二十万円のカシオを見て覚悟を決めた。
「グッドラック」ギャプランは親指を立てた。
ファック。指を立てるだけなら誰でもできるぜ。
降下口から下界へ飛び降りた。久しぶりのミッションなので、少々ちびりそうだ。
そして―
轟音と風圧に晒されながら―
圧倒的な重力に引っ張られるなか―
俺はとんでもないことに気づいた。
慌てて無線でギャプランに絶叫した。
「……傘がない!」
「なんだって、もっとハッキリ言え」
「落下傘がないんだよ! 忘れちまった。どうするんだ俺?」
次は、経済、タイガー、炎上
398:「経済」「大河ドラマ」「炎上」
12/01/22 01:59:59.50
「円高不況で日本の経済は、ガタガタだよね」
「そうねえ。でも、こういうときこそ、チャンスじゃない? 海外から安く物を仕入れて売るのよ」
「どこにそんな資金があるんだ? それに、安くても、不況が上回って売れないんじゃないか?」
「たとえば、コンテンツビジネスはどう? 海外ドラマやキャラクターの版権を取得して、かつ、広告スポンサーにお金を出させるの。ユーザーは、ただで見られるし、お金がかからないものに、逆に人が集まるんじゃないかしら」
「安いったって、個人が手を出せる金額じゃないだろ」
「だから、海外の個人を相手にするのよ。個人制作者。あわせて、個人のドラマ化権なんてのもいいわね。大河ドラマ『隣の家のスミスさん』とか」
「あまり見たいとも思えないな」
「芸能人やスポーツ選手は手が出ないし……」
「一般人だけど、見てみたいと思うような人物……」
「アフィリエイターなんてどうかしら? 大河ドラマ『ハム○管理人』とか」
「……海外、関係なくなったね」
次は「変態」「高尚」「男女」
399:経済、タイガー、炎上
12/01/22 23:54:52.37
「EUの経済は今後……」
彼女の話しを聞きながら、俺の視線は彼女の胸元に行く。
「この失敗を見れば、アジア圏での経済統合なんかもってのほか」
服を着ていても、その膨らみがよくわかる。
「TPPは中国が不参加であることに、賛否両論ありますが」
でも、この男女平等社会の中で、女性だけが公の場でも性的な部分が露わになっているのは、おかしくないか?
「我が日本はどうすればいいのか?」
たとえば、着ると胸元がぺったんこになる服が発明されてもいいはず。
「中国がアジアのタイガーとして君臨することに迎合すべきか、対抗すべきか」
男女共同参画を謳うなら、なぜそういう部分に力を注がないのか。
「それぞれの道を選択した場合、私の試算では、今後10年で日本のGDPは、このように推移します」
いや、逆に男の方にも、性的な表現がされるべきじゃないか? 股間がもっこりするズボンを義務づけるとか。
「現在の選択如何によって、日本の未来は大きく変わってきます」
N○Kのお天気お兄さんが登場すると、「もっこりもっこり」なんて実況が2chに流れるのか。
「では、何か質問ありますか?」
番組中に大きさが変わったら、「炎上中」とか書かれそうだな。
「本日は、ご清聴ありがとうございました」
「講演のとき、何ニヤニヤしてたのよ」
「いや、ちょっとおもしろいことが浮かんでね」
「どんなこと?」
「日本の未来」
次は「変態」「高尚」「男女」
400:高尚なる変態定義、男女編
12/01/26 15:16:33.89
誰も居ない講師室の壁に一人の青年が凭れ掛かっていた。彼は目を閉じ顎に指を当てて
思案に耽っている。顔に笑みは無く、声一つ立てない。だからだろうか、顔馴染みの女性が
部屋に入るなり彼に話しかけてしまったのは。
「随分と真剣に悩んでいるのね。どうしたのかしら?」
「変態とはどういうモノなのかと、少し考えていたんだ」
彼女は青年と同じように己の顎に指を当て、一つの疑問を投げかけた。
「性的倒錯という意味で?」
「その通り」
彼女は動じること無く、即座に一つの解を示す。
「常識から外れる行為、あるいは人物」
端的な答えではあるが、幅が広過ぎる。青年は眼を開いて彼女を見据えた。
「今、ここには俺と君しか居ないが、この状況において変態を定義したらどうなるかな。
条件として、広義に置ける一般常識を除外してみようか」
「そうね……一般常識を除外した場合、ここに居るのは健全な二人の男女。仮に私がこの
場でブラジャーを脱いでも貴方は喜ぶでしょうし、貴方の鼻に脱ぎたてのブラジャーを当
てても喜ぶでしょうね。しかしそれらを変態と呼ぶことはない。何故なら限定された空間
で相手を喜ばす行為は変態ではなく好意による奉仕と認識されるから。これを変態と定義
付けるには第三者による別の認識が必要になるわ。この事から変態とは、奉仕に相当しな
い性的に不快な行為と認識される行為、あるいは人物ということになるわね。そしてこれ
は第三者のみならず当事者間であっても適応される。よくよく考えてみたら嫌いな人から
されても嫌なだけよね」
「良い答えが聞けた。本当にありがとう。ところで、今夜デートなんてどうかな?」
彼女は耳を真っ赤にしながら体を震わせ、言葉を返す前に青年に背を向けた。小走りで
出口に向かっていく。部屋を出る直前彼女は振り返り、
「ちょ、ちょっと待ってて」
ドアが音を立てて閉められた。青年は喜びに曲がる口元を手で隠し、ポツリと呟いた。
「次は萌えを議論してみようか」
次は「萌え」「子犬」「男女」
401:萌え、子犬、男女+変態、高尚
12/01/26 21:13:16.07
「萌えー! 萌えー! 萌えー!」
夜遅く、一人の銀髪の少女が本を見ながら叫んでいた。すると、
「騒ぐな。公衆の面前だぞ」
と何者かが叱責した。
叱責の主は、人にあらざる一匹の子犬だった。
「何よ。うるさいわね。私が何を叫ぼうと勝手でしょ」
「そうはいかん。俺はお前のお目付役だ。皇女様のじゃじゃ馬は徹底的に矯正
せよとの天聖皇様からのご命令だ。怠るわけにはいかん」
「子犬一匹が私のお目付役ですって。御祖父様もつくづく笑わせてくれるわね」
少女はスカートを翻して子犬を蹴ろうとした。
が、子犬は思いの外、素早い。
「動きが甘い。パンツが丸見えだ。今日はミクパンか」
「バカ! 変態」
子犬は、少女が激怒した隙に、先程まで彼女が熱心に読みふけっていた
《薄い本》を咥えて近くの水路に捨ててしまった。
「何をするのよ。千ペリカもしたのに」
「ペリカ? 貨幣法違反じゃないか。あまり悪い友達と付き合うな。いい友達
を見つけて高尚な趣味を持つのだ。それがこの国の将来のためでもある」
その時、一組の男女が通りがかった。
「やだ、あの子、気持ち悪い。さっきから子犬と何か喋ってるわ」
「ほっとけよ、ただの電波だよ。俺たちとは違う世界の御伽話さ」
「じゃあ、私たちの物語はどこにあるの?」
「来いよ。天国を見せてやる」
そう言うと、男は女の手を引き、蕩けそうな都会の不夜城の中へ消えていった。
次は「火照る」「機械仕掛け」「軟体動物」
402:名無し物書き@推敲中?
12/01/26 23:30:52.37
「ここの湯は熱くて火照りますね」
夕食の後、私が大浴場に浸かってぼんやり二体の置物を眺めていると
見知らぬおばさんが声をかけてきた。私は会釈をし「そうですね」と同意する。
「その置物ねえ、さっき宿の人に聞いたら地元の芸術家が作ったものなんですって」
置物は軟体生物にも見える人間の男女が絡み合っていて、下半身が機械仕掛けで
動いている、とてもグロテスクなものだった。
「芸術ですって」
おばさんは揶揄するかのように呟いた。私は確かに気持ちの悪いものだと思ったが
こういうものは、田舎でしか見れないなとも思った。
ある意味でこういうものがあるということは自然なのだとも思う。何もかも都会みたいに
クリーンでは人はきっと疲れてしまうだろう。それに誰だってこの置物が
していることはするし、それは見ようによってはグロテスクにも見えるだろう。
私は、あまりにも好意的に解釈している自分に苦笑いをして顔をぬぐった。
少しだけ硫黄に匂いがするそのお湯は、
男性の出すもののように白くに濁っていた。
「ティッシュ」「シュークリーム」「ムード」
403:名無し物書き@推敲中?
12/01/28 08:26:24.01
高層ビルのレストラン、窓から見る光景は闇にいくつもの光が彩られている。
僕は奈緒子を招待し、どきどきしていた。
自然と手元も固くなる。
僕は苦笑した。
「今日は素敵なレストランに招待してくれてありがとう」
「あ、は、そうだね」
いそいで作り笑顔をつくった。
豊満な胸がテーブル上からむき出しになって、不自然に眼がいく。
まるでこのムードを引き裂くみたい。
「わたし、こんな本格的なスィーツ滅多にたべないです。いつもはコンビニのシュークリームぐらいです。
ぼくはティッシュで口元を拭く。
そこまで感動してくれるとは。
ぼくはライブヒルの幹部で小金には困らなかった。
欲しいものはなんでも買っちゃう。
その代わりやらしてね。
これは絶対なのである。
食べたら食べられる。
これは自然の摂理。
ふぉっふぉっふぉなのである。
「これおいしー!」
奈緒子の声がぼくの頭中で反芻する。
「サイバー」「きのこ」「100円玉」
404:名無し物書き@推敲中?
12/01/30 23:29:06.39
きのこはもう大人なのに自分のことを「きのこ」と呼ぶ。
きのこは最近、バイトを始めた。私が良かったジャン
続くと良いねと言っていたら案の定「止めた」とメールが来た。
時々、自殺とかリスカとか言う。そんなこと言うとこっちの
気が滅入るので、そういうのは言わないでというと
友達じゃないの? とかいう。友達だとそういうの聞かないと
いけないのでしょうか? 私には分からない。
「ユミさあ、さいばーふぁっしょんって知ってる?
この間、吉祥寺のぴんきーで特集してたんだ。その時、店の中で
100円玉拾ってさ。でも店の中でも床に落ちてたから
きのこが拾っても罪じゃないよね?」
次 三月 つぐみ 南
405:名無し物書き@推敲中?
12/01/31 00:15:38.01
旅だということさえも忘れてしまうくらいの旅がしたいと思う。どうすればそんなことが出来るか皆目検討がつかないけれど。
車を走らせる前に、iPhoneへFMトランスミッターを繋ぐ。カーステからスピッツの「つぐみ」が流れ出す。
この曲を聴かなければ死ぬまで知らなかっただろう。つぐみが鳥の名前だなんてことは。
マサムネの声に乗せられ車をただ走らせる。何も考えることなくアクセルを踏み続ける。たまにブレーキも踏む。
急カーブ、ハンドリングは滑らかだ。今日は調子が良いと確信した。
窓を開ける。三月の風が頬にぶち当たり、冷たいと思う。冬ではないけど、春にもなりきれてない風だった。
カーナビ上は、ひたすら南に向かって突き進んでいるようだった。ふと、カーナビを切った。
この旅に地図など要らない。旅の始まりを自分で決める様に、旅の終わりも自分で決めるのだ。
心の赴くがままに。
俺はいつも昼食を買うコンビニに車を停めて、そして週刊少年ジャンプを購入してしまうと、心がすっかり満足してしまって、もと来た道をそのまま引き返した。
旅を求める旅はこれからも続いていくんだろう。
次「ロボット」「いけにえ」「生活」
406:ロボット、いけにえ、生活
12/01/31 05:42:50.47
ロボット いけにえ 生活
〇〇〇〇 〇〇〇〇 〇〇〇〇…
「食うか」
とメイドロイドのタマキが言った。
皿一杯に盛られたそれを見て、俺は開いた口が塞がらない。
「食うかって、おまえ、これが何かわかってんのか?」
「芋虫。蚕の幼虫」
「そうじゃない。そういうことじゃなくて!」
「ご主人様に捧げる貴重ないけにえ」
「日本人はこんなもの食わないんだよ。それにナマだし」
「海鼠は食べるのに、これは食べないのか。理解に苦しむ選択だな」
とタマキは蚕の一匹をつまみ上げて首を傾げた。
やれやれ、こんな安物のロボットなんか買うんじゃなかった。
外装のデザインがいいから飛びついたものの、所詮は低グレードの安物だ。
俺の目前に契約期間の三年が重くのしかかる。
あと三年も、このボケと漫才をしながら生活しなければならないのか。
「もうヤケクソだ!」
俺は蚕を一匹つまむと口に放り込んだ。
あれ……
ちょっとだけ、おいしいよ、これ。
「だろ」
と言うタマキが、少し嬉しそうに見えた。
次「プルトニウム」「野球」「エアコン」