12/01/03 10:28:01.92 kBa9A7Lo
>>88
ファニーベルではないけど書いてみた。
アンタの作品、期待してるぜ?
…
『吸血姫の陰鬱』
「おい士郎。妾はお腹が空いたぞ。購買で、メロンパンといちご牛乳を買って来い!」
艶やかな銀髪に、可憐な黒のドレスを纏った絶世の美幼女が傲岸不遜に言い放つ。
瞬間、学園の廊下を歩く彼女に付き従っていた俺は、無言で足元の黒い布地を踏んづけていた。
「ひぎぃ!? 貴様ぁ……『裾』を踏むなと言っておろうが! な、なんたる恥辱……」
顔を真っ赤にして睨み上げてくる幼女に向かって、俺は小さく肩をすくめる。
「あのですねぇ、だったら服のサイズを考えて下さいよシア。十メートルは余りすぎ」
「士郎……これ以上愚弄するなら、貴様といえども只ではおかぬぞ?
正真正銘、真の吸血姫たる妾、アナスタシア・(中略)の牙で、
貴様を永遠に解かれぬ血の盟約に縛―」
「噛み付こうにも、その背じゃ首筋に牙が届かないでしょう? ……プッ」
途端、鋭く尖った牙を剥き出しにして喚き始める幼女。
これが本当に、吸血鬼のお姫様―即ち最強無敵の吸血姫なのだから、世の中平和なものである。
この分だと吸血鬼ってのは、案外無害な奴らなのかもしれないな。
裂かれた腹の隙間に腕をねじ込んでは内臓ごと血肉を抉り出し、すする―不味い。
何百回、何千回と食事を繰り返すうち『彼女』はすっかり獲物の味に飽きてしまっていた。
白人、黒人、黄人。色々試してはみたが、どれも大して変わらない。
唇にこびりついた腸の破片を舐め取りながら、思う。何て、不味い―
そんな時、ふと、獲物の女が持っていたピンク色の紙パックが視界に飛び込んできた。
爪を振るって引き裂き、中身をすする。
瞬間―『彼女』は大きく眼を見開いた。
「み、見ておれ士郎! いちご牛乳を沢山飲んで大きくなって、いつかきっと妾の牙で……」
涙目になる彼女を見下ろし、俺は呆れる。
「無理でしょ―不老不死なんだから」
…