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NHK出版 | NHK出版新書(NS新書) 2011年5月6日
【伊勢崎賢治(東京外国語大学大学院教授)氏特別インタビュー】
URLリンク(www.nhk-book.co.jp)
尖閣のようなことが起こると、メディアがまず熱狂します。つまり中国の脅威を煽あおる。
何にでも一言いわざるを得ないコメンテーターたちが芸能ニュースのノリで吠える。加えて、評論家、軍事専門家、国際政治学者、
大学の先生たちも好戦アジテーターと化す。こういう時に、国の民主主義が、民衆の人気取りだけに奔走する衆愚主義に陥れば、
憎悪の熱狂が、戦争という政治決定にたやすく転じてしまう可能性があります。冷静に考えて、戦争が実に割に合わない状況であっても、です。
もし、日本と中国が戦争状態になったら、日本の国際企業は、労働市場とマーケットを求めて日本を見放すでしょう。
日本が単独で、中国と軍事力でガチンコ勝負するなんてことはさすがのアジテーターたちもいわないから、頼みは日米同盟です。しかし、
アメリカ国債の四分の一を取得するといわれる中国に、日米同盟のためだけにアメリカが全面戦争を仕掛けるなんて、
どんな偏った軍事専門家でも荒唐無稽と見なすでしょう。日中間で武力衝突が起きたとしても、和平の仲介役を装い、
日中両方から感謝され貸しをつくるシナリオを描くのがアメリカという国です。
繰り返しますが、こんな割に合わない状況でも、愚かな政治決定がなされる可能性はあります。戦争が起き、そして戦争に負けても、
民間のアジテーターたちは敗戦国民衆として戦争の被害者になるだけ。太平洋戦争の戦後がそうであったように、彼らの戦争責任は問われません。
こういう理由で、僕は、熱狂を煽る人たちに対して、尖閣なんてちんけな問題だ、と言い放ちたい。