12/07/21 22:19:45.45
一ノ瀬俊也著『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」』読了。
本の帯にはデカデカと"アメリカの悲鳴が聞こえる!”とありますが、中身はほぼ日本軍の悲鳴です。まことに堂々とした、詐欺的煽りです。本当にありがとうございます。
黒船来航から百年、大日本帝国は必死になって近代軍隊を育成してきたわけですが、その終着点になった沖縄戦での皇軍の姿が以下のごとしに
“大本営陸軍部「戦訓特報第四八号 沖縄作戦の教訓」(一九四五年六月二十九日、『「戦訓報」集成』第二巻)によると、次のような
「編成装備」の斬込班が作られた。
イ、三~五名の組を最も可とする ロ、各人 槍(小銃は重く不便)一 手榴弾 二~三 各組 爆雷 一~二”
爆弾を持った槍兵隊に退化しています。訳100年の労苦は何だったのやら。
あれこれと戦訓をまとめて、日本の国力で実現できる対米戦の一つの姿がこうなるとは。
題名になっている「卑怯な日本軍」に対応するために米軍がまとめたマニュアルが本書の第一章で、以後の章は日本軍がそうした戦法を取らざるを得なくなった
背景と歴史について。
米軍が最も脅威と見なした日本軍の兵器と兵種が「狙撃兵、手榴弾、地雷」だったというが、この内どれ一つとして、まともな装備と運用がなされなかった
兵器だというのは痛い所。ソ連軍に備えている時点で、火力、兵力、機動力に勝る敵と戦う必要に迫られていたものの、対応する用意など到底日本の
能力で解決できるはずもなく、結果、人命だけは惜し気なく投げ出し、それを精神主義で自己正当化するという外から見れば
異常な軍隊に。
机上の理屈だと、あんまり有効性がなさそうな米軍の自動小銃に日本兵がかなり恐怖心と劣等感を持っていたりと、心理面での
兵器の格差の影響は中々興味深い。