12/03/01 19:32:18.80
00円でゲットしたNF文庫をさくっとレビューしてみる。
「隼のつばさ―比島最後の隼戦闘隊」 (宮本 郷三/光人社NF文庫)
タイトル通りフィリピンに展開した飛行第30戦隊の1パイロットの回顧録だが、
ぶっちゃけ空戦シーンとかは一切なし。(看板に偽りあり?)
筆者は甲幹で工兵学校に入校してから航空に転科した士官で、
昭和19年夏に戦地の戦闘機隊に着任しているが、技量未熟と判断されて
実際に空戦には参加する機会がなかった。
だからその内容の多くを占めるのが比島で米軍の航空機におびえながら
ひたすら地上を逃げ惑う描写。
再編成で一度内地に戻りながら再進出したのはいいが、飛行機にありつけず
味方部隊との合流を目指して比島をさすらう姿は物悲しい。
結局比島からの脱出に失敗して敗戦まで残留することになるのだが、
翼を失ったパイロットの悲哀がひしひしと伝わってきた。
余談だが、突入したはずの敷島隊の関大尉と出会ったと言うのはいくらなんでも……。