12/02/25 09:21:02.54
福田和也『乃木希典』(文春文庫)読了
司馬遼太郎を頂点に、詩人将軍、演技性人格、軍人として無能といわれた人物の再分析
上記毀貶を肯定しながらも、演技性人格の動機として、
武家の家系に生まれながら虚弱と罵られた人物が
維新、国軍創設のさなか、武家出身の連中に疎外されつつ
30代後半のプロイセン留学で、「軍人の本文の一つは徳義の実現」
「(秋山兄弟の軍事科目や、森鴎外の軍事医学同様)これを国軍に導入するのが私の使命だ」と
帰国。まあ自己実現の目的を見出したという事
陸軍省への報告書でもそう書いて、以降、留学前の遊び人から一転、旅順戦、殉死までの性格の一環を描く。
・・・いや、なんでもない内容にみえるけど司馬遼太郎その他、多くの研究者が膨大な生活史を「状況証拠」にして
乃木の殉死に至る精神史を「憶測」しているけど
本人がとりあえず、「こうなりたい」と明治20年代に書き残し、明治37~8年、そう行動し、明治45年に原理に従って自決したという
簡潔明瞭な内容に、ちょっと目を開かれたわ