12/02/12 04:23:19.23
故事に学びビジネスに応用する、といったジャンルは日本の出版市場では
昔から成立している。アナロジーとして旧軍との比較もありふれている。
他の著者を全否定する気か、この著者。
で、著者の言う「正統派研究者」って誰ですかね。名指しが必要と思うのはこういう時。
ま、ヒントらしきものは302ページにある。著者自身が「軍事組織には企業組織に比べて極端な事例が多く」
と思っていることだ。結局上手に摺合せできなかったんじゃないの?
とは言え、インパールの章では野中氏や磯部卓男氏の名前が脚注で提示され、それに対して
「完全合理的な人間を仮定し、そのような完全合理的な行動を理想とし、
理想と現実とを比較して現実が非合理であったと批判しているに過ぎない。」
と主張(125ページ)。
ここ、違和感ありまくりだなぁ。
批判者が牟田口に期待していたのは「完全合理性」ではなく、
菊澤氏が紹介しているような、他の参謀達が持っていた程度の「限定合理性」ではないのかな。
批判者は牟田口に「神のような能力」を求めていた訳ではなく、常識的に
期待していい程度の能力ではないのかね。まして陸大出の実践経験者ならば。
牟田口自身の行動も「名誉欲」などをコストと見立てて「合理的な行動」と言い換えているようだが、
何か狐に化かされてる様な感じ。
結局著者も248ページで「神がかり的信念」という言葉で表現せざるを得なくなってる。
むしろ、作戦に反対していた参謀達が
「合理的に沈黙」していく過程の説明の方が説得力を感じる
(ただし、反対者の首を飛ばすという牟田口の行動も留意が必要だろう)。
132ページに情報の非対称性とあるが、これは組織に対してと言うより、
牟田口など数名の個人が不愉快な事実を知らされても「拒否」したという性格だろうな。
73ページにもあるように、大本営にも反対者がいた。