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世界を騙しつづける科学者たち ナオミ オレスケス , エリック・M. コンウェイ (著)
2009年にクライメイトゲート事件ってのがあったのをご記憶だろうか。気候変動に関する研究を行っている
研究組織のメール等が流出し、それがもとになって、保守派を中心に「地球温暖化などやはり捏造だった、いかがわしい左翼の研究だ!!」
舌鋒鋭く攻撃した事件である。その後の調査により、研究内容自体の信頼性に問題がないことが第三者によって確認され、問題は一応
解決したのだが、この際の保守派の非科学的態度が頭にきたカリフォルニア大学の科学史の教授とNASAのジェット推進研究所の研究員が
科学的事実を曲げて政治に利用してきたのは保守派のほうじゃないかと、保守派と御用学者を糾弾したのが本書である。
この紹介だと、軍事となんの関係もなさそうに見えるが、本書上巻第二章はSDI構想の顛末、その非現実的で非科学的発想の糾弾に当てられて
おり、科学史の視点からあの軍事プロジェクトを見ると中々おもしろい。
まあ、宇宙に衛星を浮かべて、それで飛来する大量の弾道弾を迎撃しようって発想には根底から無理があり、本書のなかでも
そんなもの実際に作っても、千の弾頭を迎撃できるか実験なんてできっこないし、そもそも完全に機能しないと意味のない防衛システムなんて
ナンセンスだと、当時の議論を再紹介するかたちで著述している。