11/12/20 22:34:05.78
少し前に読んだ本。
『25歳の艦長海戦記―駆逐艦「天津風」かく戦えり』 森田 友幸著
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海軍兵学校から巡洋艦勤務、駆逐艦水雷長を経て1945年に駆逐艦「天津風」の艦長となった著者の戦記。
先代艦長から18期後輩、階級も3つ下の著者が艦隊駆逐艦「天津風」艦長となったのは、本艦が前半部分を失った状態でシンガポールに係留されており、
戦闘能力が著しく低下していたためであろうと考えられる。著者はなめられないようにと乗員を訓練に鼓舞し奮闘する。
その後天津風は輸送船扱いで本土行きの船団に参加するが護衛対象の輸送船が全滅、香港で再度船団を編成するがこれも全滅した。
航行中に攻撃を受けた船の大半が沈没する中、天津風は空襲を受けて損傷しながらも厦門周辺まで回航に成功、
最終的に擱座したものの損害を抑えることに成功した。空襲の描写は米側の記録もページを割いて引用している。
その後著者は陸戦隊として杭州湾口の列島守備隊長を終戦まで務める。
記述自体は短いが、着任時に島を船で一周して概況を確認する描写などは海軍らしくて興味深い。
写真は少ないが空襲中の写真などが数枚掲載されている。特に艦前半部を失い、不恰好な応急艦首を付けた天津風の写真は面白い。
この艦首が大きな波を作りだし、潜水艦による雷撃測距を誤らせたのではないかと著者は推測している。
著者は海戦間近に海軍士官となり、船団護衛の駆逐艦長として奮闘しただけに、訓練から実践まで海軍上層部についていろいろと言いたいことも多いようである。
文章の端々にそうした記述が表れている。