14/02/03 18:52:43.59 kqWaaOWpO
まず、主人公のカロが音楽を愛していないのが致命的な問題である。
冒頭の時点でカロは2年間も音楽活動をしていない。
そして、コンクールで審査員の一人が「私の趣味ではない」とコメントを書いたことでウジウジといじけてしまい、何と1年近くも引きこもり状態になるのだ。
人生にはこれより苦しいことがたくさんあるのに、カロにとってはこれが信じられないほど大きな挫折なのである。
おそらく、作者も批評家の一言に異常なほど強く反応してしまう性格なのだろう。
しかし、吹奏楽部というのはコンクールで賞を取るためにやっているのではない。音楽が好きだから演奏するのだ。
作者が音楽を愛していればこんな展開は書かない筈なのだが。
そして、その無気力な、大学にもほとんど行かず指揮の練習もしていない男が、なぜか後輩の女子高生たちからモテまくり、冒頭から最後までひたすら崇拝されるのである。
私が「新興宗教の宣伝書」と言ったのはそのためで、女子高生たちがカロに「先輩を信じています」「ついていきます」「幸せでした」と何度も信仰告白をするのだから非常に奇妙で気持ちが悪い。
作者の「俺を崇拝しろ」という肥大した虚栄心と、女子高生に対する強烈な性欲だけが強く印象に残る作品である。
作中の女子高生(実在の後輩女性がモデルである)に対する、とても卑猥な表現も含まれている。
これは青春音楽小説からはかけ離れた教祖小説となっているので、読者はそれを覚悟しなければならない。