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転校先の中学校でいじめを受け、精神を病んで自分だけの世界にこもってしまった少女、星空みゆき。
みゆきの楽しみは、入院先の病棟で、幼児向けの絵本を読むことと、さらに、
「スイートプリキュア」までのプリキュア各シリーズのDVDを繰り返し見ることだった。
その中でも特にみゆきが気に入ったのは、「プリキュア5」だった。
やがてみゆきは、自分を不幸に陥れたのは、絵本に出てくる狼、鬼、魔女などの悪役のせいだと
信じるようになった。そして、不幸な自分を救い出すためにプリキュアとなることを夢想し始めた。
友達のいなかったみゆきは、妄想の中で、プリキュア5の人形を自分の友人だと信じ込んだ。
キュアルージュの人形を手に取り、これを少し改造して自分の架空の友人に見立てて、キュアサニーと名付けた。
以下同様に、キュアレモネード人形をキュアピース、キュアミント人形をキュアマーチ、キュアアクア人形を
キュアビューティと名付けた。最後にキュアドリーム人形は、自分の変身姿と考え、キュアハッピーと名付けた。
(ちなみに、キュアミント人形を改造するとき、失敗して、髪型がおかしくなってしまった。)
この5人組をみゆきは「スマイルプリキュア」と名付けた。それは、学校で一度も微笑むことがなかった自分の
せめてもの願望が込められた名前だった。
さらに妖精も必要だと考え、シプレ人形を改造して「キャンディ」と名付けた。
そして、自分をいじめた同級生たちが自分に「あかんべえ」をしたことを思い出し、アカンベエという名の
怪物が実在するかのように考えるようになった。
アカンベエが人々を襲っている場面は、スイートプリキュアの「不幸の音楽」やフレッシュプリキュアの
「FUKO」の場面を参考にして夢想した。
だが、最後にみゆきは気づいた。自分が実在すると思っている「スマイルプリキュア」など、しょせん、
自分が視聴した過去のプリキュアDVDを頭の中で真似た児戯に等しいものでしかないということを。
そして、みゆきが心の傷を克服して現実に目覚めたとき、スマイルプリキュアの世界は終焉し、消えたのである。
(完)