12/02/05 19:42:22.97 BZOPZSWb0
「そもそも、人を食らう必要がないことと、人の喰らわれる心配がないことは、全くの別問題だ。奴らは必要なら、まして邪魔なら、幾らでも人を喰らい、殺すだろう」
「新世界の人達は、必要なら殺しもするけど、そうでなくてもどうでもいい、そんな軽い存在になっちゃうわけだ。麦の穂と野の草、どっちの立場が上なのかな、ヒヒッ」
「では聞くが、未だ現実にはなっていない、先から並べたくられた単なる危惧だけで予防的に殺そうというのか?このまま見過ごせば、奴らは勝手に出ていくというのに」
「それを見過ごせない者らがいる、と何度言えば分かる。第一、奴らが犯してきた悪行を見逃せと言うのか?好き放題したまま、より好き放題出来る場所に移るだけなんだぞ」
「そうは言いますがね。こちらの世界の被害を、ほぼ完全になくせる……それも現実的に見て一つの利点であり成果ですよ?大災厄がいずれ起こるとして、それまでの時間を数百、数千年と稼げるのですし」
「問題の先延ばしに過ぎん。今まで数千年かけたが、喰らい喰らわれの関係、危うく歪む世界、なにも革新的な変化はなかったのだぞ?向こうでも好き放題やっていれば、いずれは同じ結果となる。そうなれば“紅世”も、この世も、新世界とやらも、みな共倒れだ」
「そんな初歩的な講釈は受けるまでもない。だがな、そのいずれとやらはいつ来るんだ。今言われたように数百年、数千年も先ではないのか」
「遠い未来だから、自分が死んだ後だから知ったことじゃないと?別世界の話だから、向こうのことは向こうに放り投げてしまえと?今の自分さえ良ければいいのか?」
「そりゃ人間はすぐ死ぬからいいよな。見逃せば、自分たちの生きている間は安全だ」