11/09/25 11:46:38.79
“デジタル化で、「多メディア化」「多チャンネル化」され、「高画質」「高音質」な放送が楽しめる”、
といいことずくめの導入論が語られ、“デジタルの本格スタートで、夢のような世界が展開される”と、
われわれ視聴者の期待は高かった。
たしかにデジタル移行後「多メディア化」されたし、「高画質」「高音質」で放送されている。
しかし普通の人たちにとって「多メディア化」は日々のテレビ視聴にはあまり関係ないし、
「高画質」「高音質」といっても、そうした画像・音声を楽しめるような受信環境を備えている家庭はほとんどないのが実情だ。
ならば「多チャンネル化」はどうか?
例えばNHK。朝8時から総合テレビで「おひさま」が放送される。しかし既に「おひさま」はBSプレミアムで朝7時半から放送されており、
それを見たから8時からの「おひさま」は見たくないと総合テレビのサブチャンネルに合わせてみても、画面は同じ「おひさま」だ。
民放局も同じだ。多チャンネル化で番組選択の幅が広がったなんて“真っ赤なウソ”なのだ。
「多チャンネル化」により、視聴者は、当然、見たい番組への「選択肢」が増えるのだから、
視聴率も「fragment(分散)」されるだろうと予想したが、実はそうではなかった。
「おひさま」をメインチャンネルで見ようが、サブチャンネルで見ようが、
同一番組だからと視聴率は一本化されて算出されるのだ。
仮にメインチャンネルで「おひさま」が放送されているとき、サブチャンネルで「他の番組」が放送されたとしても、
メインチャンネルで放送されている「おひさま」の後に(他)印を付けて「おひさま」の視聴率として一緒に表示するというのだ。
つまりサブチャンネルで放送されている「他の番組」の視聴率は独自には算出されないのだ。
ちなみにサブチャンネルで放送される「別の番組」の視聴率が知りたければ、
別途料金を支払えば提供されるというのだそうだが、これでデジタル化後の視聴率を測定したと果たしていえるのだろうか?
時々思うのだが、もし競合先であったニールセン社が今も視聴率調査を実施しており、
多チャンネル化に応じてサブチャンネルの視聴率を算出していたら、ビデオリサーチ社も
“特別料金を払えば、チャンネル別に視聴率を出してやる”などとは言わないだろう。
また放送局や広告会社も、チャンネル別に視聴率が算出されると視聴率がフラグメントし、
メディアとしての到達効率が低下するとの懸念からか、チャンネル別視聴率を算出してほしいとは言い出せないようだ。
「デジタル化」は本格スタートしたものの、送り手の側は、このご時世、チャンネル別に異なる番組を制作・放送するわけにはいかないようだ。
調査会社も番組名の後に(他)マークを付けるばかりで、より実態に近いテレビの見られ方をレポートする気はなさそうだ。
番組視聴率の後に(他)印ばかりが並んだ視聴率表なんて、報告書の体をなすものではない。
業界挙げてデジタル化のメリットを標榜し、推進したものの、後の始末については「知らぬ・存ぜぬ」を決め込んでいては、
せっかくのデジタル化を業界のプラスにする気が無いと見られても仕方がないだろう。
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