11/09/13 21:26:16.68
（※抜粋です。全文は「週刊現代」誌面でどうぞ）
■ネットから達成感？
最近、フジテレビをめぐって起きたデモも、きわめて「日本的な現象」と言えるだろう。
（中略）
韓国ドラマが20年前にキー局で流れることはありえなかった。韓国映画の日本でのヒットと、ヨン様ブーム（'03年）を大きな転換点
として、NHKを含めどの局も韓国ドラマをとりあった。
今は、むしろ落ち着き、相場も下がっている。フジテレビだけが攻撃される謂れはなく、そのスポンサーに対して不買運動が起きるのも
理不尽だ。
嫌韓派がバックアップしているのでややこしいのだが、いや、ややこしくないか（笑）。このたびのデモは、明らかに「嫌韓」運動だったのだから。
■全否定は自己否定に直結
韓国のある政策に遺憾の意を表するとか、その逆もあって良い。が、特定の国や個人を全否定するのは、何ら説得力をもたない。
思考の偏向そのものだ。
ましてや、現在は底値と言っていい韓流ドラマは、キー局にとって、視聴率がそこそこ取れる割には予算が少なくて済む、貴重な
コンテンツとなっている―局側の事情としては、それだけなのだ。底流にあるのは、広告減と視聴者離れである。
他方で、フジテレビを囲んだ「毎日ネットを3～12時間もやっています」という人々も、不況の犠牲者である率が、かなり高い。
長くネットを見ていると、それを全世界と錯覚してしまう。
<<「ネットでこれだけ騒ぎになっているのに、マスコミが取りあげないのは偏向報道だ」>>
あのね。昔から一貫してテレビ局は偏向報道だったのですよ（笑）。いや、今回に限って言えば、フジテレビはもとより、外交問題に
発展しかねない―けれどもまだ小さな芽であるこの話題を敢えて取り上げることなど、期待するほうがおかしい。
ネットはマスコミではない。自分の好きなネットで話題になっているのに、マスが取り上げない、という牽強付会こそ偏向しているのでは？
かつてベトナム報道でもアフガン報道でもイラク報道でも、アメリカべったりに偏った報道がなされてきたのはご存知の通り。
今回、高岡さんが例えばジャニーズやバーニング（局が頭が上がらない大事務所）所属だったら、様相はもっと異なっていたろう。
■達成感とは
私の知る限り、この一連の経過を、ようやく報道したのは「朝日新聞」（9月1日朝刊）である。
<<「フジテレビは売国的。なでしこジャパン優勝の際、国歌斉唱を意図的に中継しなかった」「ネットの主張をマスコミは取り上げない。
偏向している証拠だ」>>と、黒いサングラスをかけた実行委員会の代表は語ったそうな。ううむ。
なぜサングラスを。いつもはボイラー修繕を生業とする大人しく優しい36歳らしい。なぜ「意図的」と断じられるのか、ぜひ根拠を
伺いたい。
なぜネットの主張を、ソマリアの飢餓実態さえとりあげないマスコミが、大々的にとりあげることなどありえるとお考えなのか、も。
ヨーロッパではソマリアのニュースが取り上げられない日はない。
私が、この朝日の記事で括目したのは、<<「現実の社会でデモができ、達成感があった」>>。
キミたち。一緒にリビアに行かないか。東北のボランティアでもいい。何ならソマリアでもいい―死の覚悟が必要だけれども。
いや、日常では大人しくて暇なら、せめて韓国語を習ってソウルでデモるぐらいの力をつけたら如何か。英語のほかに中国語や韓国語
ができたら高給優遇間違いなしだぞ。
ソース（週刊現代 9/24・10/1合併号 150～151ページ 「なんなんだこの空気は メディア考現学」 日高隆氏）