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「見るつもりがないのに、NHKと衛星放送(BS放送)契約を結ばなくてはならないのはおかしくないですか」。こんな声が本紙
生活部に相次いで寄せられた。集合住宅で各戸にBS放送用の配線が来ていたり、ケーブルテレビに加入したりした場合、
意図しないのにBS放送が見られる状態になり、契約を求められるケースが多くなったことが不満の背景にある。 (稲田雅文)
放送法は「NHKの放送を受信することができる設備を設置した者は、受信についての契約をしなければならない」と規定。
NHKは世帯ごとに、地上放送が見られる状態になっていれば地上契約(月千三百四十五円)を、BS放送も見られれば月額が
九百四十五円高い衛星契約を結んでいる。
BS放送が始まった当初、見るためにはパラボラアンテナの取り付けやBSに対応するテレビを用意する必要があったため、
一九八九年に有料化しても、視聴者は衛星契約をするか、しないか選択できた。
しかし、最近は地デジ化で買い替えたテレビの多くにBSチューナーが装備されるようになった。事例1のように、引っ越した
集合住宅がBS放送に対応していた場合、各戸で配線さえすればBS放送が見られる。同2のようにケーブルテレビを導入した
場合も同様だ。総務省やNHKの見解では、見るか見ないか、視聴者の意思は関係なく、受信できれば契約をする義務がある
とする。
WOWOWなどは、料金を払った場合にだけBS放送が映るよう信号を暗号化する「スクランブル」を導入。技術的にはNHKの
放送にも導入可能だ。事実、受信料について検討した総務省の「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」
は二〇〇八年七月、BS放送について、料金を払った人だけ番組を見られるようにするスクランブル化も検討すべきだなどとする
報告書をまとめている。
しかし、NHK会長の諮問機関「NHK受信料制度等専門調査会」が今月まとめた報告書では、スクランブル化については
触れず、将来は地上放送とBS放送の受信料を一体化すべきだと提言。実現すれば、BS放送が見られない地上契約のみの
世帯から不満が出そうだ。
NHK広報局は「スクランブル化は“あまねく”という公共放送の基本的性格を変えることになり、対価料金制度の導入は
“よく見られる番組”に偏り、番組の多様性が失われて公共放送サービスの低下も懸念される」と説明、現時点での導入は
きっぱり否定する。
服部孝章・立教大教授(メディア法)は「見たくないのに衛星契約を結んだり、携帯電話のワンセグを持つ人と大画面テレビで
見る人とで同じ受信料を徴収したりと、公平性の確保が難しい時代になった。公平性を追求すれば受信料は税金か国庫負担に
するしかなく、受信料の問題やNHKの将来像について国会などで議論する時期に来ているのではないか」と話している。
◆集合住宅で既に配線…
【事例1】引っ越ししたアパートにBSアンテナが設置されていて、部屋まで配線が来ていました。見るつもりがないので地上放送の
配線だけをして視聴していました。ところが訪問してきたNHKスタッフは「配線すれば見られる」と、衛星契約を迫ってきました。
民放のように見る人だけが契約できる形にできないのでしょうか。=愛知県、五十代女性
◆CATVで映るように
【事例2】ケーブルテレビ(CATV)の地デジ対応のため、新しい受信設備をケーブルテレビ会社が設置しました。すると、それまで
映らなかったBS放送も映るようになりました。以後、NHKスタッフが「BS放送が映るから契約を」と何度も訪問してきます。
ケーブルテレビ会社に「映らないようにできないのか」と聞くと「できない」とのこと。納得できません。=愛知県、六十代主婦
ソース(中日新聞) URLリンク(www.chunichi.co.jp)
写真=最近のデジタルテレビには、BSのチューナーが付いていることがほとんどだ
URLリンク(www.chunichi.co.jp)