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放射能汚染牛肉が市場に流通―消費者に衝撃
【東京】放射性セシウムに汚染された牛肉が日本全土の店舗やレストランに出荷されていたことが明らかになり、
新たな放射能汚染騒動になっている。
これは、事故のあった福島第1原発に近い農家が飼育した牛6頭の肉で、日本の食品安全基準の最大7倍の放射性
セシウムが検出された。政府当局によると、肉の一部は既に消費者の口に入った公算が大きいという。
専門家は、この程度の放射線は1度か2度食べたとしても健康上問題がないほどに低いと述べている。しかし
汚染牛肉流通の発覚は国内のニュース番組やワイドショー番組で大きく取り上げられており、日本の消費者が
今後長期間にわたって放射能の恐怖とともに生きていくことを想起させた。またそれは日本における牛の
放射能検査方法に抜け穴があることも浮き彫りにした。
日本ではこれまで、食品の放射能汚染に関する報道がおおむね収まった状況にあった。しかし今回の牛肉汚染騒動で、
福島第1原発が水、農産物、それに魚といった生活必需品を放射能で汚染しているとの懸念が再燃した。日本の検査当局は
1カ月前、同原発から200マイル(約320キロ)以上離れた場所で生産された茶葉から基準値を超える放射性物質を検出した。
これは汚染が以前考えていたよりも広範にわたっていることを示している。
汚染牛肉の流通で国民は衝撃を受けた。肉の流通経路の調査は9日に始まった。東京都が同日、福島第1原発か
約29キロメートル離れた福島県南相馬市の農家で飼育されていた牛の肉から高い濃度の放射性セシウムを検出した
と発表したためだ。これより先、この農家が飼育した6頭の牛は東京の食肉処理業者に出荷され、その後、
8県や首都圏の卸売・小売業者に販売されていた。6頭はいずれも外部、つまり体の表面の放射能検査をクリアしていた。
東京都の食品監視当局の広報担当者は、一部の肉の行方が分からないが、中には既に消費者の手に渡ったものもある
とみられると述べた。これが牛肉の売り上げに与えている影響は今のところ不明。
放射性セシウムはガンマ線を放出して、細胞のDNAを傷つけ、がんになるリスクを高める可能性がある。しかし、
原発事故調査・検証委員を務める放射線医学総合研究所の研究員、柿沼志津子氏はウォール・ストリート・ジャーナル
の取材に対し、今回検出された水準は1年間毎日大量に摂取し続けた場合に健康上の懸念が生じる程度だと指摘し、
日本の食事スタイルでは問題になる可能性が低いと述べた。1度や2度食べてもあまり影響はないという。
福島県の担当者によると、同県は福島第1原発から近い地域で飼育されていたすべての牛について、外部検査、
つまり体の表面の検査を行っていた。今回汚染が発覚した牛はすべてこの外部検査をクリアしていたという。
また同県は農家に対し、被ばくリスクを判断するための質問票に回答するよう求めていた。その中には牛がどんな
水を摂取していたか、どこで飼育されていたか、どのようなものを餌としていたかといった質問があった。
県の担当者によれば、汚染された牛を飼育していた農家は汚染された餌を与えていないと回答していたが、
それが事実ではないことが分かったという。
この農家は後になって、屋外に置かれ、放射性降下物にもさらされていたわらを牛に与えていたことを認めた。
その後の検査でわらから非常に高い濃度の放射性セシウムが検出された。そのわらは牛に内部被ばくを引き起こしたが、
県の検査ではそれを検知することができなかった。
福島県やその他の自治体は同時に、汚染された可能性のある地域の肉の一部を、食肉処理された後に検査している。
しかし、検査には時間がかかるため、実施の割合は非常に低い。厚生労働省の広報担当者によると、9日に汚染された肉が
発見される以前に実施された福島県産の牛肉の検査件数はわずか45件。検査を受けた肉の割合は恐らく出荷された肉の
1%にも満たない。
ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版
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