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東京電力福島第1原発の事故後、安全を唱えてきた研究者らは「想定外」と繰り返し、無責任ぶりに
驚きが広がった。「原子力ムラ(村)」と命名したNPO法人「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也
所長に事故の構造的原因やエネルギー政策について聞いた。【聞き手・日野行介】
◇発言封じ込め安全軽視--環境エネルギー政策研究所所長・飯田哲也さん(52)
--国や東電は事故原因の津波被害や長期の全電源喪失をなぜ想定しなかったのですか。
◆ 想定しなかったのではなく、「想定したらまずい」と考えたのでしょう。ムラの人々は原子力推進に
支障がないよう事実の方を曲げてきました。一見緻密に見えても、大きく見ると間が抜けているから、
いざ事故が起きれば「想定外」を連発せざるを得ない。想定した範囲が狭すぎただけです。
--ムラには都合の悪いことを想定しない雰囲気があるのですか。
◆ 原子力は事故のリスクもあり、絶対に正しいと言えるものではありません。しかし内部では自由な
発言を封じ込める重苦しい空気があります。電力中央研究所で勤務していたころ、使用済み核燃料
の「貯蔵」という言葉を「柔軟的管理」と言い換えさせられたことがあります。使用済み核燃料を全量
再処理する「核燃料サイクル」が日本の国策。貯蔵だと全量再処理と矛盾するように受け取られるから
都合が悪かったのでしょう。原子力ムラでは不都合な言葉をよく言い換えます。
「これは一生の仕事ではない」と感じました。
--そもそも日本の原子力技術は本当に高いのでしょうか。
◆ 日本が原子力を導入して約50年もたちますが、ドイツやスウェーデンと違って日本独自型の原発は
今もできていないし、「もんじゅ」(高速増殖原型炉、福井県敦賀市)の事故(95年12月)で分かるように
国産の独自技術はことごとくつまずいてきました。今回の事故でも、発生した汚染水処理や、がれきの
撤去などに使うロボットなども海外のものばかり。日本独自の技術はほとんどありません。
私はよく日本の原子力を映画のセットに例えます。表面上はとても立派で、安全管理も徹底していると
世界に触れ込んでいる。ところが裏側を見ると、ベニヤ板でできたハリボテです。
--それを聞いていると、安全性にも不安を感じます。
◆ 今回の事故の直接的原因が津波とすれば、構造的原因は安全を軽視してきた原子力ムラと国の
あり方でしょう。私は鉄鋼メーカーに勤務していた当時、国の安全審査を受けたことがあります。
技術的なデータをそろえて審査の書類を作るのですが、通産省(当時)の官僚から聞かれたのは表面的な
字面ばかり。市民団体やマスコミから突っ込まれないよう形式的な安全を整える発想です。
一方で、地震や津波、金属構造などの最新知見をふまえて、実質的な安全を考える文化はありません。
--今後の事故処理を進めるために何が必要でしょうか。
◆ まず事故の検証を通してこれまで原子力を推進してきた体制の責任を問う必要があります。また電気
料金から天引きされ、もんじゅの維持など原子力に投入されている予算は事故処理に充てるべきです。
核燃料サイクルの費用として約3兆円もの埋蔵金がありますが、これも事故処理に充てるべきです。
核燃料サイクルは元々不必要で、実現性も乏しい事業です。
◇「自然エネ」へかじ切れ
--一方、事故影響で夏の電力需給が問題になっています。
◆ 東京電力管内であっても供給は問題ないでしょう。さらに、電力会社は逼迫(ひっぱく)時に大口
事業者に対して使用削減を要請できる「需給調整契約」があり、すべての大口事業者に適用すれば十分
に需要調整ができます。原発停止分の電力は、一時的に天然ガスで賄いますが、省エネ分も織り込めば、
単価は上がっても総エネルギーコストを下げられるでしょう。
>>2に続く
毎日新聞 2011年7月2日 東京朝刊
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