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■日本の「情報敗戦」明らかに
杉嶋岑(たかし)・元日本経済新聞記者が北朝鮮を旅行中に、当局に逮捕されたのは1999年12月、5度目の訪問のとき
である。逮捕の理由は「スパイ活動」というものだった。本書は著者が初めて本格的に北における拘束の内幕をあきらかにしたもの
である。
逮捕直後、取調室で、最初に杉嶋氏を驚かせたのは、彼が日本で、北情報を提供していた内閣情報調査室や公安調査庁
から彼に関する情報が北当局に還流していたことだった。杉嶋氏は日本人情報機関員によって、北に「売られ」ていたことに気づく。
本書で明かされる日本の「情報敗戦」の姿は絶望的なほどである。
まともに朝鮮語も話せないばかりか、北に取り込まれ、公然と二重スパイとなる日本人政府職員、TBSテレビなどいともたやすく
北の情報機関に操作される日本のメディア。その一方で、北朝鮮側はロシア、中国などとの間で常に情報交換を定期化しており、
日本の著者の自宅までも厳重な監視下においていた。
北では外来者は徹底的な監視下におかれる。日本でも知られる最高級の高麗ホテル。この各部屋には入り口のスイッチの裏に
盗聴器が、浴室には小型の隠しカメラが据え付けられている。日本の某代議士が浴槽でハニートラップの現場を隠し撮りされたとの
噂も根強い。
拘束から1年半後、杉嶋氏は釈放され、圧倒的な「開放感」を得る。この感覚は訪朝体験のある私にもよくわかる。平壌をたった
国際列車が中朝国境を越えた瞬間、同行メンバーから一斉に歓声が上がったほどだった。
金体制の動向次第でいずれは、日本も北朝鮮との正常化交渉を始めることになる。それに伴い、田原総一朗氏ら「ジャーナリスト」
たちの正常化を急げとの声が聞こえてくるだろう。だが北朝鮮という「プロパガンダなくして、存立しえない『宣伝国家』」、「社会的自我
に目覚めぬ李氏朝鮮以来被支配に慣らされた国民」との和解は本当に可能なのかどうか。「現政権のもとではありえない」。杉嶋氏
の命がけの回答は重い。
評・青木直人(ジャーナリスト)
ソース(MSN産経ニュース)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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写真=『北朝鮮抑留記 わが闘争二年二カ月』
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