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15日、東京都の記者会見で、今夏の節電対策について「パチンコや自動販売機で余計な電力を喰うことで日本の経済を疲弊
させる」と、改めてこのふたつの業界に自粛を求め、政令の導入さえも匂わせた石原慎太郎東京都知事。
これは、4月11日、当選直後の会見での「一日に使用される電力はパチンコが450万kW(キロワット)、自動販売機も450万kW。
これほどの電力がさほど必要でないものに消費されており、福島第一、第二原発の発電量(900万kW)とほぼ同じだ」という発言を
受けてのもの。自らの節電構想に揺るぎがないことを繰り返した形だ。
ところが、この「電力450万kW」発言は正確ではなかった。日本自動販売機工業会によると「自販機1台の消費電力は約0.3kW
ほど」。東電管区内の自販機台数は85万台(全国清涼飲料工業会)ということから、単純計算すると自販機の電力消費量は
25万5千kW。同様に、「パチンコ店の瞬間的な最大使用電力は208kW。東電管区内にあるパチンコ店は4080軒であり、使用量の
合計は約85万kW」(都のパチンコ業界団体である東京都遊戯業協同組合の関係者)と、数字が合わない。
石原都知事はなぜ、このような発言をしたのか? どうやら“電力(kW/キロワット)”と“電力量(kWh/キロワットアワー)”を混同して
いたようなのだ。
“電力”とは、その瞬間にどれだけの入力が必要かを示す単位。前述の自販機=25万5千kW、パチンコ=約85万kWがそれに
あたる。それに対し“電力量”は、使用条件に近い状態で一年間に消費する量で、「h=時間」で表す(注/このふたつは計算式が
違うため、単純に“電力”に24をかければ一日の“電力量”が出るわけではない)。石原氏は、一部で報道されていたパチンコと自販機
の電力量「450万kWh」を、電力の単位である「kW」で言ってしまった可能性が高い。
正確な単位で計算すると、夏場のピーク時に東電が必要とする6千万kWの電力のうち、パチンコ店の電力が占める割合は、実は
1.52%にすぎないことになる。
これに気付いたのか、15日の会見では「ピーク時の電力は、地下鉄が36万kWに対して、自動販売機26万kW、パチンコ84万kW」
と言い方を変えたものの、やはり「べらぼうな数字」と消費電力が多いことには変わりがないと譲らなかった石原都知事。だが、前出の
東京都遊戯業協同組合の関係者は、「450万kW」発言に憤(いきどお)る。
「石原都知事はもっと調べてから発言してほしいですね。公人なんですから。知事の発言以降、苦情の電話が相次ぐなど、対応に
追われています」
また、都内のパチンコホール関係者も「わざと間違えてデマを飛ばしているとしか思えない」と、石原都知事の“暴言癖”に危機感を
覚える。
「知事は福島原発の発電量を、あたかもパチンコと自販機だけで貪(むさぼ)っているかのようなイメージを世間に与えてしまった。
これじゃ、スケープゴート。現場で働いている人たちは怒っている。あれが当選会見の場で言うことかって」
1999年に都知事に初当選してから、すでに4期目に突入した石原氏。先の都知事選では苦戦が報じられながらも、次点の
東国原氏に100万票近い差をつけた。つまり“暴言・失言”も多いが、その政治的手腕が都民から支持されている証拠だ。ただ、
今回は明らかな“虚言”。78歳という高齢からくる「ボケ」ではないことを1300万都民は願っている。
ソース(週プレニュース) URLリンク(wpb.shueisha.co.jp)
写真=東京都では無敵の石原慎太郎知事。その言葉は、首相や大臣も黙らせるが、暴言も多い諸刃の剣
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