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こうしたシニシズムは、09年に初めて有権者に政治的行動を起こさせ、長年の与党・自民党から
民主党への政権交代を導いた有権者の希望と野心を浸食しかねない。あるいは、大規模な政治改革運動
や大胆な政権交代要求につながる可能性もある。
政治家の信認は既に急速に失墜しつつある。福島周辺住民の保護に関する日本と欧米の対応を見比べて
みれば、それは明らかだ。日本国民は、原発から20キロ圏内住民への退避指示を含め、政府が一連の
ガイドラインを示しながら、それに反して問題がいかに深刻かを示す声明を絶えず発表しているのを目
の当たりにしている。
一方、オーストラリアや英国、米国は日本に住む自国民に対して、はるかに厳格な勧告を出し、また
米政府は自国民に影響のある地域からの退去を強く促している。これは、過去の豊富な経験も相まって、
日本政府が危機の重大さを積極的に語りたがっていない印象を与えている。
人道的対応については、日本政府は、米国はもとより中国や韓国、オーストラリア、インドネシア、
インドをはじめとする10数カ国からの支援を受け入れている。日本の非政府組織(NGO)団体も、
1995年の阪神大震災や海外の大災害での経験を基に即座に行動を起こしている。
だが、いずれ日本国民は菅首相と内閣に責任を負わせるだろう。この最も困難な状況において果たさ
なければならない彼らの任務の重大さを考えると、それは不公平かもしれない。だが、それが民主国家
というものだ。
東日本大震災はまだ誰も想像し得ない形で日本を変える可能性がある。日本社会は思いもよらない苦境
に直面するなか底力をみせている。日本政府は果たして同じ強さを見せることができるのだろうか。皆の
視線は今そこに注がれている。
(マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長で
ウォール・ストリート・ジャーナル電子版のコラムニスト)