【論説】誰でも一度は首相になれる国ニッポン。国家の方向感覚や方向性もなく、首相が代わるたびに振り出しに戻る日本の政治…英FT紙at WILDPLUS
【論説】誰でも一度は首相になれる国ニッポン。国家の方向感覚や方向性もなく、首相が代わるたびに振り出しに戻る日本の政治…英FT紙 - 暇つぶし2ch1:諸君(もろきみ)φ ★
10/09/03 08:10:14
 アンディ・ウォーホルはかつて、将来は誰もが15分間は有名になると予想した。日本人はより平等主義の制度を完成
させつつある。ここでは誰もが15分は首相になれる。確かに、この制度が未完であることは認めざるを得ない。菅直人氏は
すでに3カ月間も首相の座にしがみついているのだから。だが、小沢一郎氏が今月の党代表選挙で彼を破れば、15分の
目標がより一層、近くなる。

■20年間に14人の首相、イタリアの2倍

 日本の首相はバブル崩壊以降、20年間で実に14人と同時期のイタリアの2倍に上る。2006年に小泉純一郎氏が退任
して以降の在任期間は平均して1人12カ月にも満たない。1年前に政権を取った民主党は、状況を安定させるどころか、
交代の周期を一段と速めた。もし14日の代表戦で小沢氏が勝てば、この12カ月で3人目の首相になる。

 こうしたアンディ・ウォーホル流の政治は、様々な面で日本に害を及ぼす。

 第1に、政治家が強力な官僚からついに権力を奪い取ったと聞かされてきた国民は、大いな不安を覚えるだろう。
官僚からの権力奪還は小泉政権のテーマの1つであり、自らを民意に敏感な近代的な党として描く民主党にとっての
明確な目標でもある。

 国民には、こう問う資格がある。「一体全体、我々はなぜ、こんな愚か者どもに国の運営を任せたいと思うのか」―。

■戦後体制からの決別になるはずが…。
(中略)
 新首相が就くたびに、新たな方向性が打ち出される。民主党は1年前、減税と子ども手当による「成長を目指す」との
公約を掲げて選挙に勝ったが、3カ月前に菅氏が首相に就くと、方針はがらりと変わった。日本は山のような公的債務に
ついて何か手を打たねばならないとの考えから、公約を縮小し、消費税率の10%への引き上げを提案した。

 小沢氏が代表選に勝てば、再び政策は転換されるだろう。こうした混乱は国民は損害だけを残すことになる。個人も
企業も将来設計を立てることができず、日本が必要としている消費や投資を促すことにはつながらない。

■官僚にかえって主導権を渡してしまう危険

 次に、洗濯機のようにめまぐるしく回転する政治は、様々な分野にも影響を及ぼす。政治家は、自分たちが支配しようと
した官僚にかえって主導権を渡してしまう危険がある。

 日銀が独立した政策を実行する自由度はかつてないほど高まっている。民主党は日銀に、デフレ退治のため一層の
金融緩和か、慣例にとらわれない対策の実施を迫ってきたが、日銀はただ肩をすくめて、次の首相を待つことができる。
今週、日銀は多くのエコノミストがみるところ、経済活動を刺激するための形ばかりの措置を取った。ある政府高官は、
日銀を好きなように政策を実行できた戦後のGHQ(連合国軍総司令部)になぞらえる。

 第3に、政治の混乱は日本の国際的なイメージにも影響を及ぼしている。日本の指導者は間違いなく、国際舞台では
無名の部類に入る。ブラジルのルラ大統領は日本の前首相の名前を思い出そうとして、口ごもった。大統領いわく
「ある首相に『おはよう』とあいさつしたら、別の首相に『こんにちは』とあいさつするんだからね」。

■同盟国をいらだたせる絶え間ない交代

 絶え間ない首相交代は、同盟国をもいら立たせた。米政府は沖縄米軍基地の移設について日本政府との合意を
目指して努力を重ね、ことごとく失敗してきた。首相が代わるたびに振り出しに戻り、激しい論争はもう10年以上も
続いている。
(中略)
■堂々巡りをしているだけの日本の政治家

 恐らくもっと憂慮すべきなのは、日本人の多くが「二の次」であることに甘んじているように見えることだろう。指導者に対する
信頼喪失は、組織を大きく衰弱させることがある。国家には方向感覚や方向性といったものが必要だ。日本の政治家は
単に、堂々巡りをしているだけなのである。

By David Pilling

ソース(日本経済新聞・英FT紙) URLリンク(www.nikkei.com)


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