10/04/05 04:52:24 発信元:114.171.139.164
【月尾 嘉男】
1990年頃から、日本と米国の間で、さまざまな技術開発競争が始まっている。その特徴は、
第2次世界大戦と同じで、最初は日本が先行するが、やがて組織力で負けてしまうということの
繰り返しである。 いまやIT革命が盛んに言われているが、1990年にすでにNTTが次の時代の
通信戦略としてVI&P(ビジュアル・インテリジェント・アンド・パーソナル)計画を打ち出した。
発表された当時、日本ではほとんど騒がれなかったが、米国はすぐに反応して新しい戦略NII
(ナショナル・インフォメーション・インフラストラクチャー)を'93年に発表。結果的に日本を追い抜い
ていってしまった。 日本は米国に3年、ドッグイヤーで7倍に換算すれば、20年先行していたのに、
負けた。それは、日本に大きな戦略がなかったからだ。 さらに、もっと先を行っていたのに負けて
しまったものがある。ヒトゲノム 解析だ。 日本では、1981年に東京大学の和田昭充教授を中心
に、ヒトゲノム解析に必要なシーケンサ装置を開発するための研究体制を整えた。その研究論文が
出た頃に米国も慌てて体制を整えてきた。当初は、日本も科学技術庁や大手民間企業が予算を
投入して研究が進んだが、途中で息切れしてしまい、予算を打ち切ってしまった。 昨年6月に、
米クリントン大統領がヒトゲノム解析の98%が完了したと大々的に発表した。解析成果の内訳は、
米国が67%、英国が22%、日本が7%、仏と独が2%ずつ、中国が1%となった。日本が'81年、米国が
'85年 ? それだけの先行期間があったにも拘わらず、やはり負けてしまった。 今後、期待される
分野にナノテクノロジーがある。しばらく前までは、ナノ テクノロジーも日本が有利だと言われて
いたが、最近では「決して進んでいる国ではない」という調査レポートも発表され、また遅れ始めた
との見方も出始めている。はたしてどうなのかを議論したい。
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